地銀再生に活かすべきSDGsの5つの原則

地方の金融機関および中小企業の再生のキーワードは以下の記事でも紹介されている通り「持続可能性」だと思います。時代の変化に伴う事業環境の変化は阻止することはできなく、それに応える会社だけに持続の可能性が高まるということでしょう。

持続可能性といえば「持続可能な開発目標」=SDGsという人類共通の壮大な目標があります。そして、地域創生の文脈としてカラフルな17色のSDGsバッジを胸に付けている地方金融機関の役職員が多いです。

ただ、本当にそのバッジの意味が腹に落ちているのでしょうか。SDGsが掲げている17の目標はあまりにも壮大で、もしかすると自分コトとして刺さっていないかもしれません。

ソフィアバンク代表の藤澤久美さんがご指摘いただきましたが、地銀が自分コトにするに「より重要なのはSDGsの5つの原則」だと思います。この5つの原則を日々の行動指針にしなければ、そもそもSDGsの達成どころか、SDGsバッジをつける意味がないからです。

「普遍性」「包括性」「参画性」「統合性」「透明性」という5つの原則はSDGsが生まれた国連の「アジェンダ2030」にそのまま掲載されているものでありません。ただ、私の推測では、2016年に設けられた官邸の「SDGs推進本部」向けの説明資料に、どこかの賢い役人がアジェンダ2030等に設けられていたSDGsの精神を、日本企業でもがわかるように整理したものだと思います。そういう意味では、日本人が日本人のためにつくったものです。

SDGsの17の目標は壮大すぎて、それは素晴らしいが「できない」という言葉が発ししやすいです。ただ、責任感ある会社であれば、普遍性、包括性、参画性、統合性、透明性が「できない」ということはいえなく、必ず成し遂げなければならない原則になります。

そして、この5つの原則を地域金融機関に向けると、このように解釈できると考えています。

【普遍性】 企業理念や文化のように時代が変わっても、変わらないもの。

【包括性】 社外で取り残している人がいるか。(地銀の場合、フィナンシャル・インクルージョンという概念です)

【参画性】 社内で取り残している人がいるか。(ダイバーシティ経営です)

【統合性】 他者との協業、コラボレーション。(自前主義だけでは時代の要求に応えることができません。)

【透明性】 各ステークホルダーとの信頼性を高めるための対話。

これら原則は、どのような立場であっても地方金融機関が果たさなければならない任務でありますし、逆に言えば、この5つが「できない」のであれば地域社会において存在意義がないということです。

従来の事業だけでは、記事が指摘していたように、オーバーバンキングになります。ただ、このSDGsの5つの原則が示す原点回帰をして、新しい時代に応えられる地域金融機関は、地域社会にとって不可欠な存在になるでしょう。

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