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蛇を踏む(川上弘美)

_「よくわからないけどね、しょわなくていいものをわざわざしょうことはないでしょ」
コスガさんはそういうが、どんなものをしょってどんなものをしょわなくていいのかしょってみるまでは分からないような気がした。しかしコスガさんには言わなかった。

あとがきで、川上さんは自分の書く小説のことを「うそばなし」と呼んでいるという。

_「うそ」の国は、「ほんと」の国のすぐそばにあって、ところどころには「ほんと」の国と重なっているぶぶんもあります。
「うそ」の国は、入口が狭くて、でも、奥行きはあんがい広いのです。

私は浮世離れしたような話に苦手意識が強いところがあったけれど、この考え方良いなぁと思って。

現実にはありえないものに"敢えて"置き換えた方が、生々しさを増すこともあるんだなとというか。

そう思って読んでみれば、きっとあの時すっと入ってこなかったあの物語も浸透していくのかもしれない。

読んだり、観たり、触れたり
普段であれば言葉が出てくるような時にも、靄がかかったようにあるはずなのに出てこないことが続いていて。
今年に入ってようやく少しずつ、言葉たちを取り戻してくような感覚でほっとしている
言葉にできるかどうかは私にとって、様々なバロメーターとしての役割を果たしてたよう

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