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「夜のオデッセイア」小説と映画の違いについて考えた。
船戸与一「夜のオデッセイア」(1981年)は冒険小説をこよなく愛した北上次郎がイチ推しだったから手にとったのだが。
福井晴敏や有川浩を読んだわたしには北上次郎の受けたような感動は訪れなかった。80年代を席巻した冒険小説は姿を消した、というよりは冒険的なエンタメ小説に進化したというべきではないか。
夜のオデッセイアには登場人物の心理、葛藤、逡巡が濃密に描かれていない。だから感情移入できず深い感動が得られなかった。
このことに関連して、小説と映画の違いについて思ったことがある。登場人物の心理を濃密に詳細に描くという点では、このオデッセイアにはなかったけれど、小説は映画よりも圧倒的に優位にあると言えるだろう。
その一方で状況を描くといういう点では、小説は映画に劣る。このオデッセイでも、アメリカの街の風景やアメリカ人たちの姿が浮かんでこない、イメージできないのだ。
こういう舞台が外国や未知の所などの場合は、
映画があってそれを先に観てから小説を読んだら、小説をより楽しめるのではないか。
北上次郎は「原作を越える映画などそうあるものではない」と書いたが、全面的には賛同できないとこの小説を読みながら思った。
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