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加工令和4年1月1日施行公証人手数料令の一部を改正する政令

令和3年12月10日 日本公証人連合会
https://www.koshonin.gr.jp/chg_teikanfee


令和4年1月1日からの公証事務運用の改正について
1 株式会社等の定款認証手数料の改定

2 郵送による執行文付与申立て、正謄本交付申立てを認めること

3 嘱託人作成文書への押印を廃止すること

株式会社等の定款認証手数料の改定

(1)株式会社又は特定目的会社の定款の認証の手数料について、これまで「5万円」であったものが、資本金の額等が100万円未満の場合「3万円」に、資本金の額等が100万円以上300万円未満の場合「4万円」に、その他の場合「5万円」にと改められます。

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(2)上記改定に伴う留意点は2点

1点目は、経過措置の問題です。新制度は、定款認証の嘱託時を基準とします。1月1日前の申請のもの(電子定款は登記供託オンラインシステムにより受付処理された時、紙定款は公証役場窓口で定款の認証嘱 託がされた時を基準にします。)は、従前の一律5万円です。

2点目は、公証人手数料令の解釈の問題です。手数料は株式会社等の資本金の額等によって区分されています。この資本金の額等が定款案に記載されていない場合は、「設立に際して出資される財産の価額」が基準となります。
定款の中には、「設立に際して出資される財産の最低額」を記載しているものがあります。その場合、改正後の公証人手数料令第35条第1号及び第2号のいずれにも該当しない場合ですので、同条第3号の「前二号に掲げる場合以外の場合」に該当することとなり、「5万円」の手数料となります。


公証人手数料令
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=405CO0000000224
(定款の認証)第三十五条
会社法(平成十七年法律第八十六号)第三十条第一項(他の法令において準用する場合を含む。)並びに一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)第十三条及び第百五十五条の規定による定款の認証についての手数料の額は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める額とする。
一 株式会社又は特定目的会社(資産の流動化に関する法律(平成十年法律第百五号)第二条第三項に規定する特定目的会社をいう。以下この号及び次号において同じ。)であって、その株式会社の定款に記載され、若しくは記録された資本金の額(定款に資本金の額に関する記載又は記録がなく、かつ、会社法第二十七条第四号に規定する設立に際して出資される財産の価額の記載又は記録がある場合にあっては、当該価額)又は資産の流動化に関する法律第十六条第二項第四号の規定によりその特定目的会社の定款に記載され、若しくは記録された特定資本金の額(次号において「資本金の額等」と総称する。)が百万円未満である場合 三万円
二 株式会社又は特定目的会社であって、資本金の額等が百万円以上三百万円未満である場合 四万円
三 前二号に掲げる場合以外の場合 五万円

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会社法

(定款の記載又は記録事項)
第二十七条 株式会社の定款には、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。
一 目的
二 商号
三 本店の所在地
四 設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
五 発起人の氏名又は名称及び住所

(設立時発行株式に関する事項の決定)
第三十二条 発起人は、株式会社の設立に際して次に掲げる事項(定款に定めがある事項を除く。)を定めようとするときは、その全員の同意を得なければならない。
一 発起人が割当てを受ける設立時発行株式の数
二 前号の設立時発行株式と引換えに払い込む金銭の額
三 成立後の株式会社の資本金及び資本準備金の額に関する事項
2 設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合において、前項第一号の設立時発行株式が第百八条第三項前段の規定による定款の定めがあるものであるときは、発起人は、その全員の同意を得て、当該設立時発行株式の内容を定めなければならない。


3 郵送による執行文付与申立て、正謄本交付申立てを認める

(1)執行証書に対する執行文付与の申立て及び執行文の謄本の交付の請求並びに公正証書の正本又は謄本の交付請求については、法務省先例によって、郵送による申立や交付請求は認められていませんでした。

しかしながら、電子定款等の手続において本人確認や代理権限の証明がオンラインで行うことが可能とされていることや裁判所においても判決等の債務名義の正本や謄本の交付請求や執行文付与の申立てについて郵送によることが認められていること等を考慮し、この点を改め、郵送による申立てや交付請求を認めることとしました。

(2)もっとも、公正証書の正謄本の交付請求については、公正証書の内容に関する秘密性等を考慮し、公的機関が発行した申立人の写真付きの身分証明書の写しによって本人確認をする場合に限って、テレビ電話を使って本人確認をするることとしました。なお、印鑑登録証明書によって本人確認をする場合は、テレビ電話による本人確認の手続は不要です。

なお、これまで最寄りの公証役場での正謄本の申立書の本人確認を認める運用を行ってきましたが、これは廃止します。

(3)郵送による執行文付与申立て等について

郵送による執行証書に対する執行文付与申立て等の取扱いは、次のとおり。

必要書類は、

ア 執行文付与申立書

単純・数通執行文付与、事実到来・承継執行文付与の申立書(別 紙1、2)は、日本公証人連合会のHPに掲載。

イ 執行証書の正本
ウ 本人確認資料

1)実印と印鑑登録証明書で本人確認をしようとする場合は、執行文付与申立書等に実印を押捺し、発行後3か月以内の申立人の印鑑登 録証明書を添付してください。

2)そうではない場合は、公的機関が発行した申立人の写真付きの身分証明書の写しが必要です。なお、パスポートその他の公的機関が 公証した住居地の記載がない身分証明書の場合は、住民票、健康保険証等の公的機関が住所地を公証したものを添付します。

エ 事実到来執行文又は承継執行文の場合には、その事実の到来を証明する文書又は承継の事実を証明する文書が必要です。原本と併せて、その写しを添付してください。

オ レターパック・プラス又は書留郵便用の郵便切手を貼付した返送用封筒

 返信先を記載したレターパック・プラス又は書留郵便用の郵便切手を貼付した返送用封筒を同封してください。そして、返信先は、 申立人の本人確認資料記載の住所地を記載してください。代理による申立ての場合にあっては、代理人の本人確認資料記載の代理人の住所地又は申立人の本人確認資料記載の住所地を記載します。

代理人の場合

 上記のアイエオに加え、代理権限を証する委任状と発行後3か月以内の申立人の印鑑登録証明書及び代理人の本人確認資料が必要です。

申立人又は代理人が法人である場合

 上記の必要書類のほか、当該法人の代表者の資格を証する証明書が必要です。

手数料等

 謄本の作成手数料及び送達費用は、ATMやインターネットバンキング等を利用して振り込みます。

(4)郵送による公正証書の正謄本の交付請求

 郵送による正謄本交付申立て等(別紙3)について、基本的に執行文付与申立ての場合と同じですが、公的機関が発行した申立人の写真付きの身分証明書の写しを本人確認資料とする場合には、テレビ電話を利用した本人確認を行います。

 なお、公証人の面識のある者からの申立てについては、公証人法第2 8条第1項及び第2項に鑑み、本人確認資料を省略できます。

4 嘱託人作成文書への押印を廃止することについて

 近時の行政手続における押印の廃止を受け、公証事務においても、別表のとおり、これまで嘱託人に対して押印を求めていた嘱託人作成の文書の一部につき、押印を不要とすることにしました。

 もっとも、実印及び印鑑登録証明書によって本人確認(人違いでないことの証明)をしようとする場合は、申立書等への実印による押捺を省略することはできません。

1 執行関係及び送達関係の書類の押印

 押印の廃止をしないことにしました。裁判所は、執行関係、送達関係書類の押印については廃止しない方針のようですので、これと同様とします。

2正謄本の交付申立書及び閲覧申立書の押印

 実印と印鑑登録証明書を本人確認資料とする場合には、申立書等に実印による押捺を必要とします。

 公的機関が証明する顔写真付きの身分証明書を本人確認資料とする場合には、押印は不要です。

3 電子定款に関する申告書等の押印

 電子定款に関する申告書((1)実質的支配者の申告書、(2)同一情報の提供の申告書、(3)嘱託人作成の各種上申書)については、押印や電子署名は不要です。

 表明保証書は、嘱託人(定款作成代理人)以外の実質的支配者本人が作成するものですので、性質上、署名をお願いすることになります。この場合の押印は不要です。

4 保証意思宣明書の保証予定者の押印

 保証意思宣明書の保証予定者の押印は不要です。

5 原本還付

 公証人法施行規則第15条所定の、附属書類である印鑑証明書や登記事項全部証明書等を原本還付する場合には、嘱託人の押印は不要です。

6 上申書

 上申書は、意思表示文書ですから、基本は署名又は記名押印が必要です。もっとも、メールの遣り取りなどで真正が容易に把握できる場合などは、押印も省略可能です。各公証役場に照会。