抜け出したい
そうなったきっかけはもう覚えていない。
私は気が付いたら自分に自信がない人間だった。
視界には地面しか映らないくらい俯いて歩いているような子供だった。
自分の姿はこの世のものとは思えないくらい醜く見えていた。
自分のことが大嫌いだった。
いつだってここから消えてしまいたいと思って生きていた。
20代の中頃、このままではいけないと気が付きメンタルケアを始めた。
自分でメンタルの事を学んだりセラピーを受けたりして、毎日のように『消えたい』と思うようなことはなくなった。
自分の事も少しずつ好きになっていったし、視界には大空が広がることも多くなった。
それでも、たまにやってくる希死念慮はどうしてもなくならない。
これがやってくると、私はすべてに絶望してしまう。
母に言われたことがある。
『貴方の妊娠が分かったとき、産むかどうか悩んだの』
私にはその言葉が呪いのようにこびりついている。
その言葉には『それでも貴方を産んでよかった』という言葉が続くのはわかっていることだ。
それでも自分の命を否定された気持ちになってしまったあの言葉は、きっと今でも希死念慮の根源になっているのだろう。
私は生きたい。この足枷を外して軽やかに生きたい。
この重い気持ちから抜け出したいんだ。
家族や友人、すべての愛する人に『生きる事』を肯定してほしいと願ってしまうこの気持ちを持て余している。
いつかここから抜け出せたらいいのに。
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