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ジェンダー問題はみんなのもの

先日、友人男性と話していた時のこと、
彼には、私のフェミニズムに関する考えなどをよく話してきていたのですが、
「やっぱりしおりの男女平等の考えには賛成できない」と言われてしまいました。

大きな理由として
男女平等を謳っているのに結局女性優先になっているところ
だと言います。

例えば、女性専用車両に関しては、
女性のために女性のためだけの車両を作ることは優遇ではないのか、
女性にとって有益なことは差別にならないのか、
「平等」というなら何もするべきではない
と言うのです。

私の意見としては、
女性専用車両は女性を優遇するものではなく、
女性が男性と同じ心持ち、つまり痴漢を恐れず電車に乗ることができるようにするものだと思っています。
女性専用車両があって初めて、対等になる。

もちろん男性に対する痴漢もあることは事実ですし、痴漢をなくすことができればそれが一番いいのですが、現状では、女性が対等な気持ちで電車に乗るには女性専用車両を作るしかないということなのでしょう。

こう考えると、以前ブログでもお話ししましたが、平等という言葉はふさわしくないし、批判を生む原因になってしまうとも感じました。

そしてさらに彼は、
フェミニズムが高まることで、女性なら何をしてもいいという雰囲気になり、男性が不利に感じるとも言っていました。

二つおもしろい例を挙げてくれたので紹介します。

まず一つ目は、女性ばかり男性に攻撃されているという世論に対し、
「女だって男をたたくじゃん。この間1人でタピオカ屋に入った際、集団のJKにじろじろ見られましたけど。」
と言うのです。

タピオカといえば若い女の子というイメージが作り上げられてしまったせいで、確かに男性は1人で入りづらいのでしょう。

こうやって男だって女に挟まれて生きづらいのに、女性の権利拡大を訴えるなんてそれこそ不平等だというのです。

さらに二つ目、セクハラに関して。
例えば、TV番組でおじさんが若い女の人の体を触ったとしたらどうでしょう。
「いい体してるね。」と。
考える間もなく、これはセクハラと多くの人が思うはずです。

では、逆を想像してみてください。
おばさんタレントが若い男性の体を見て、「いい体してるね~、触っていい?」と言ったらどうですか?
この場面は、なんだか見覚えがある気がしませんか?
セクハラと取り上げられるわけでもなく、普通にTVで見る光景ではないでしょうか。
私の友人は、この例を挙げて、なんでおばさんは許されるのに、逆はだめなんだ、と言います。

(これに関しては、女性の体が性的に消費されてきたという歴史があり、もともと、そして現在も、
「男性にとっての女性の体」と「女性にとっての男性の体」、
そして「世間的に見た男性/女性の体の見られ方」はかなり異なるので、そこを考慮しなければならないのですが、いったんそれは置いておくと、)

全くもって彼の言う通りです。
女性の体は触ってはダメで、男性の体は触ってはいいなんてことはありません。

この、彼が挙げてくれた例は二つとも、
ジェンダーに縛られる苦しさを表していると思います。
性別に関わらずタピオカを飲みたいし、
男だからと言って体を触られたいわけじゃない、と。

ではここで一旦、こちらの動画を見てください。
(私のInstagramのストーリーでも共有したものです)

https://youtu.be/dD6r53DWxwk


これはオランダのビールブランド、ハイネケンのCMです。
男性にはビールが渡され、女性にはカクテルが渡される。
これが世の中の思うジェンダーだけど、実際はそんなことないんだと伝えています。

このCMで最も私が感動したのは、最後のテロップが
Men drink cocktais too. (男だってカクテルを飲む。)
だったところです。
Women drink beers too. (女だってビールを飲む。)
ではなく。
ハイネケンはビールブランドなのに!

オランダは、世界でもトップレベルにジェンダーの議論が発展しており、性教育もかなり進んでいると言われています。
LGBTQに関しても、2000年には同性結婚法が制定され、2001年に施行されています。
オランダは、世界で一番早く同性婚に異性婚と同じ制度を採用した国なのです。
私がまだ1,2歳のころ、既にはるか遠いオランダでは、同性婚が認められていたなんて信じられません。

こんなオランダだからこそ、
Men drink cocktails too.と言えたのではないでしょうか。
日本でならば、Women drink beers too. だったでしょうし、それでも日本の広告としては、お酒のCMにジェンダー問題を取り上げた目新しいものになったと思います。

何が言いたいかというと、
日本では、「ジェンダーについての対話=女性のもの」という認識が強すぎるのです。
タピオカの話も、おばさんがお兄さんの体を触る話も、全部、ジェンダーの問題。
でも、日本では、まだジェンダーという概念の浸透度も低く、この言葉を聞くと、女性の権利拡大運動に結び付ける人が多くなってしまいます。

しかしそうではなく、タピオカが好きか、ビールが好きか、体を触られたくないか、を決めるのは、「女か男か」ではなく、「あなたがどう思うか」なのです。

普段生活していて、生きづらさ、不快感を抱いたとき、それが、男/女の枠に入れらているせいではないか考えてみてください。
そうすることで、「ジェンダー」という言葉が、もっと身近に感じるはずです。

ジェンダーに関する議論、フェミニズムに関する議論って根本はこういうことなんだと、もっと多くの人が気づけたらいいなと日々思っています。

ではまた~

(2020.2.10)

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