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AIの発言を理解するために、量子力学の計算を勉強することにした。で、すごいいい本があった

誰だ。AIが進化すると仕事が楽になると言ったやつは。
AIが勝手に金を稼いでくれて本人は遊んで暮らせるようになるはずとか言ってたやつは。もしくは全ての仕事をAIが奪ってしまって、人間はやることがなくなってしまうとか言ってたやつもいたな。

面白い。お前らが言ったことは実は全部間違ってるAmazong, Every words what you said were wrong。まあ俺も言ってた気がするが。

AIが進歩すればするほど、これまで諦めていたことや、一生縁がないだろうと思っていたことを「やってみようかな」と思う機会が増えてしまう。ちょっと前までは絵を描く練習をしていた。

OpenAIのChatGPT-o1は、「数学をもっと勉強しないとAIとの会話についていけない」という絶望的な体験を提供する。大半の人に必要なさそうな体験だが、ある種の人には「もう一度頑張って勉強しようかな」という動機を持たせるのにちょうどいい。

例えば、今やプログラミングしようかなという時にAIに考えさせるのは普通になった。今、池袋のLFSで24時間AIハッカソン Powered by GARELLIAというイベントが開催されているが、イベント中に僕も何本か小さいツールを作るんだけど、これがAIの力によって圧倒的短時間で作れてしまう。

コーディングスキルよりも「何をさせたいか」を考える方にはるかに多くの時間を使う様になる。これって、あれじゃないか。昔100人規模の会社を経営していた時に似ている。

コーディングと同じようなことがねChatGPT-o1では数式に対して行うことができる。昔、スティーブン・ウルフラムと呼ばれる天才物理学者が作ったMathematicaは、使うのにも天才的な才能が必要だったが、今やChatGPT-o1があれば数学的操作はある程度ChatGPT-o1に任せたり、意味を質問したりできるので、数学の勉強が以前よりもはるかに簡単になる可能性がある。

その結果、僕はもう絶対一生やらないだろうなと思っていた量子力学と波動関数の手計算を「やってみようかな」と思うところまで来てしまった。

それがたまたまこないだ見つけた本がすごくわかりやすくて、大学数学は初日で挫折した僕でもわかりやすく量子計算に導いてくれる。

この本は、基本的に高校数学の二年生くらいまでの内容と、高校物理の最初の内容、すなわち運動方程式くらいまで知ってれば1/4くらい読み飛ばせる。ということは、運動方程式を知らなくても、頭からちゃんと読めば理解できる様になっている。

しかもこの本の読み方は、傍にノートとペンを用意して、いちいち、板書するかのように数式を手で書き写しながら、「あーこの式変形はこうやるから、右辺と左辺は実質的に同じ意味なのか」と理解しながら読み進めることができる上、徹底的に自分が理解したか確認したい人向けに練習問題まである。

何より素晴らしいのは、この本の数学の勉強が大学受験を目的としていないことだ。

大学に受かるための数学ではなく、この世の真理を知るための道具としての数学の原理と使い方の説明に終始しているところだ。

これまで、飛び飛びにいろんな本を読んでいて、Ψプサイとかハミルトニアンとか適当に読み流していたのだが、F=maという高校の物理で習う一番簡単な方程式を丁寧に変形していくことで量子力学へ導いてくれるという画期的な本のように思える。

この本の見事な企画と構成、そして「確かにここまで説明されたら文系の編集者でも理解できるようになったんだろうな」と思わせる説得力のある解説に、思わず夢中になって読み耽ってしまった。

いかな僕でも、この手の数式が数式がズラズラ出てくる本は読んでるとすぐに寝落ちしてしまうのだが、寝不足のはずの僕でもどんどん読めてしまう。感動した。

というわけでお薦めです。