驚くじゃがいもに慣れた人たち

一昨日ライブに行った。
本当に素晴らしかった。

なのに細かな記憶が失われつつある。
そういう刹那な感じも含めてライブは最高なんだけど、それにしても切ない。

あの表情やあの興奮は、あの時の私だけが享受できて、たった2日過ぎただけなのにもう何も残さない。

ホール公演の4列目は本当にアーティストが手に届く距離だった。そのあまりにも近い距離のせいで、実際にご本人が登場すると脳がパニックになる。

考えてもみてほしい。休日、家を出てコンビニまで歩いているとき、突然嵐の松潤がスッと横に並んできたらとりあえずノーリアクションは無理なはずだ。誰が、とかじゃなく「手に届く距離に現れる」とはそういうこと。

そういうわけで彼が登場してから私は15分くらいずーっと驚きっぱなしだったのだけど、そんなリアクションされて一体どういう気持ちなんだろう。

1曲終わったあたりから、「いやいや、もういいでしょ!俺だから!そんな驚かなくてもいつも動画で観てるのと同じ人だよ!」って思わないのかな。

むしろ何も見ちゃいないんだろうか。観客の驚いた表情なんて視界に入るじゃがいものひとつに過ぎないんだろうか。

5年前くらいのインタビューで、「歌ってるとき何考えていますか」という問いに「何も考えていない、歌の中でただ生きてる感じ」と答えていた。と同時に、観客の満足そうな顔を見ると曲間に「ウンウン」と頷いてしまう彼特有の癖も認めていた。

観客の何を見て何を見てないんだろう。ファンを抱えた人しか分からない謎の世界である。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?