ステージを降りるな!

昨日のCDTVで、コブ〇ロのツアードキュメントをやっていた。ざっくばらんな態度を取る黒田さんと、綿密な打ち合わせを求める小渕さん、そしてスタッフの3者のやりとりは「大人の事情」を感じざるを得なく、ファンでもない私ですらヒヤヒヤした。

黒田さん「セットリストを決めすぎるのは違うと思うねんなあ」
小渕さん「だから、試しに今作ってみただけだよ」

リハーサル最終日に関わらず流れる不穏な空気。トレードマークのサングラスもなく、ごっつい指輪をつけダルダルのTシャツを着て黒田さんは腕を組む。お偉いさんと思しき50代くらいの長髪を束ねた男性が、初日のセットリストくらい決めろと言わんばかりの圧を2人にかける。妥協できる器量があるだけに苦悩する様子の小淵さんが映る。

結局、ツアーは上手く収まりましたっていうオチだったんだけど、あんまり見たくないアーティストの姿だなって。

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ファンになったアーティストについて何でも把握したいと思うし、何も知りたくないと思う。

アーティストが同じ人間だと思うと夢が無くなるから、ステージ以外の素顔は見たくない派だ。ミュージシャンなのに管轄外のバラエティ番組に出るんだったら、サクッとあざとくこなしてほしい。万が一滑ったこと話してスタジオが変な空気になりようもんなら「どうしよううちの子」と心配してしまう。たまにそんな感じなら許せるけど、毎回そんな感じだったらもうそれ以上ファンを長く続けられない。

どんなにファンであろうと、新曲が何かイケてないなぁと思ったら最後、その曲は2回位聴いたらもう終わる。するめ曲っていうのは、「おっこのフレーズいいな」「あっ後ろで鳴ってるピコピコいいな」とかいう小さい気づきが永遠に続く曲のことで、初見がイケてなかったらするめにもなれない。三浦大知大好きだけど、去年のアルバムに入ってたバラード曲は別に好きじゃなかった。

ありとあらゆる過去作品を追っかけるから、一見アーティストに近づきたいがためにしているようだけど、ステージに立つ側と観客側というちょっと遠すぎる距離を保っていたい。

アイドルには大きなお便りをしてほしくない、というのはイメージの押し付けじゃなくアイドルへの礼儀であり応援だと思う。こっちは課金する代わりに、ひとりの人間の良いとこだけ見て勝手に崇める権利を得てるんだ。あなたに課金の価値を見出してるんだ。私の全部見て、全部分かって、は個人間でしか成り立たない。各々が現実世界で恋人や友人や家族と分かり合うしかない。

ポルノの晴一さんが過去の著作で「ボーカリストは生き方だ」と書いていたけど、本当にそう思う。ボーカルはファンから一番遠い存在でいいのかもしれない。


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