見出し画像

サイバーリムの調整/『シャドウラン 5th Edition』ハウス・ルール15

01 前口上

 この記事は新紀元社から発売されている『シャドウラン 5th Edition』日本語版ユーザーに向けた、「非公式」のルール調整案(Tweaks)です。
 記事の閲覧・利用に関する前置きは下の記事を参照してください。


02 サイバーリムの調整

 このルールは前回の「超人化」ルールの導入に伴って発生する、サイバーリムの運用上の問題を解決するためのものです。
 従来の環境では、サイバーリムはその効果に対して、ルールが複雑になること、【エッセンス】と新円のコストが高すぎることが問題になっていました。その代わり、生身のキャラクターでは達成できない装甲値の高さが他では得られない利点となっていましたが、そのような特化したキャラクターはなまじのヴィークルより硬くなってしまい、ゲーム・バランス上の問題を起こしていました。この一連のTweaksはそれらの問題を調整します。

(1). 全体リムと部分リム
 ルール上の「全体リム」は片腕全体、片脚全体、サイバートルソ、サイバースカル、Liminal Bodyとします。
「部分リム」は前腕部、手、指(Cyberfinger)、下腿部、足、Partial Cyberskullです。


03 能力値の算出

 サイバーリムを導入したキャラクターの(強化された)【筋力】と【敏捷力】を、原則として「頭部を除く」各肢体の平均値(端数切上)で算出します。この時、肢体が全体リムの場合はサイバーリムの能力値を、部分リムまたは生身の場合は生身の能力値を使用します。通常のキャラクターであれば肢体の数は頭部を除くと5箇所(右腕、左腕、胴体、右脚、左脚)です。
 あるリムを主に使う動作(戦闘中の命中テストなど)や、通常は「使用するリムの低い方」の能力値を参照するような、バランスを求められるテストに対しても一律に平均値を使用します。また身体リミットや移動力も平均値を元に算出します。
 一方で、GMが特にその部位のみが利用されると判断したテストについては、依然としてそのリムの能力値を使用することができます。サイバースカルの能力値を変更することも依然として可能ですが、ゲーム中に適用されるケースは非常に限定的でしょう。
 このルールではリムごとに能力値が異なっていても(特にサイバーレッグの左右の【敏捷力】の違いなど)、特にペナルティはありません。これはキャラクターの作成と管理を簡単にするためです。キャラクターが一時的に肢体を喪失した(サイバーリムをブリックされたり、《Rot》の呪文で失ったりした)場合には能力値の再計算を行わなくても構いません。しかし、キャラクターが永久的な変更を受け入れ、資質に反映させた場合は、残っている肢体に基づいて能力値が再計算されます。

例:生身の【敏捷力】が2で、頭部をサイバースカルに、右手をサイバーハンド、左脚全体をサイバーレッグ(【敏捷力】3)に置換したキャラクターの能力値は、右腕2、左腕2、右脚2、左脚3、胴体2となり、合計11÷5(切上)で強化【敏捷力】は3となる。

要約
・【筋力】と【敏捷力】を用いるテストでは、常に頭部を除く、各肢体の能力値の平均(切上)を用いる。通常は両腕、両脚、胴体の5箇所の平均値。
・サイバーリムの能力値が適用されるのは片腕全体、片脚全体、サイバートルソである。前腕部、下腿部、手、足、指のみのサイバーリムは平均値の算出においては生身の能力値を使用する。
・身体リミットや移動力は平均値から算出される。


04 他のインプラントとの互換性と調整

 サイバーリムへの置換では、生身の骨、感覚器官、臓器は完全には失われず、他の手段によるこれらの器官への強化は有効とします。つまり、全身をサイバーリムに置換した場合でも骨格補綴や骨密度強化、猫目、合成心筋といったサイバーウェアやバイオウェアは導入可能であり、ルール通りの効果が発揮されます。
 皮膚と関節に対する強化は、キャラクターの全体の肢体の数に関わらず、生身の部分が残された肢体が3つ以上ある限り効果を発揮します。この時、部分リムは生身が残っている肢体として扱います。能力値の場合と同じく、GMは一時的な肢体の喪失では装甲値等の再計算を行わないとしても構いません。
 人工筋肉など、キャラクターの【筋力】や【敏捷力】に対する効果は生身の部分が残っている限り、その肢体にのみ有効です。
 ドラッグやBTLによる能力値の修正は生身の部分にのみ作用します。

(1). ヘッドウェア
 ヘッドウェアを導入できるのは頭部のサイバーリム(サイバースカル、Partial Cyberskull)のみとします。

(2). 装甲値強化の調整
 サイバーリム強化の装甲値は各全体リムにつき最大1までが通常の装甲値に適用されます。1を超える装甲値や、部分リムに搭載された装甲値はその部位への「部位狙い」にのみ適用されます。
 Liminal Bodyの場合、Centaurボディは各脚につき1まで、Wheeled WattiorとTank!では2までとします。
 これは超人化ルールの導入を前提としたゲーム・バランスの調整です。


05 Chrome Fleshに関する明確化と調整

 下記の通り、Chrome Flesh収録の追加データに関する明確化と調整を行います。

(1). Primitive Prostheticsの補足

 このリムへの置換は、Cyber Singularity SeekerやRedlinerの資質においては「リムに置換した」とは見なされません。またコンディション・モニターのマス数が増減することもありません。
 同時に肢体ごとの能力値の算出にも影響しませんが、一方でこれらのリムのペナルティはルール通り適用されます。
 皮膚装甲や関節強化の効果においては、生身は残っていない(完全に置換した)と見なされます。

(2). Liminal Bodyの補足
 このリムへの置換は、キャラクターの肢体の数を永久的に変更します。Centaurボディでは脚が4つに、Wheeled WarriorとTank!では脚の数は1つになります。キャラクターの元々の下肢の数は無視されます。キャラクターの【筋力】と【敏捷力】は新しい肢体の数に基づいて再計算されます。身体コンディション・モニターの増加はCentaurボディは4マス、それ以外は2マスです。実際には下腹部も置換されてしまいますが、生殖器以外の臓器には影響しないものとします。さらに胴体をサイバートルソに置換することも可能です。
 Cyber Singularity SeekerやRedlinerの資質においては、Centaurでは脚全体を4つ、Wheeled WarriorとTank!では脚全体を2つ置換したものと見なします。皮膚装甲や関節強化が失われるかどうかの判定では、脚すべてが置換されたものとします(脚の数が変わっても、生身の部分が3つ残っていれば良いことに変わりはありません)。
 油圧ジャッキ等、「両脚に」導入する必要がある(またはペアで導入した場合に効果が異なる)アクセサリーは2つ分のコストと容量値を支払えばルール通りの効果を得られるものとします。
 Centaurボディによって下肢の数が増加する場合、超人化によるエッセンス・ホールではエッセンス・コストを支払えません。すべてを本来の【エッセンス】から消費する必要があります。


(3). Cyberlimb Optimizationの補足
 Cyberlimb OptimizationはChrome Fleshのリストにない技能を選択でき、具体的にどう最適化されているかを決めておく必要はないものとします。ただし、【魔力】や【共振力】が関わる技能や、肉体的な動作を伴わない(VRモード中の遠隔操作など)テストには適用できません。リミットへの修正は【精度】に対しても有効です。
 ひとつの技能テストに関与できるリムの数は最大4(リミット+4、DP+2)までとします。ひとつのリムはひとつの技能にしか最適化できませんが、例えば腕と脚でそれぞれ異なる技能に最適化しても構いません。複数の技能が関わるテスト(複数の武器を同時に使用する場合など)に、それぞれの技能に最適化したリムの修正を加えても構いませんが、いずれにしてもひとつのテストに関与できるリムの数は4までです。
 部分サイバーリムやLiminal Bodyには適用できません。


サイバーリム対応表

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?