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テンセントのNewRetail”超级物种”にはレジカウンターが存在しない。

NewRetail(新零售)というとアリババの「盒马鲜生」を思い浮かべる方が多いと思いますが、アリババと並ぶ中国テックの雄、テンセントが力を入れるのが「超级物种」です。

前提として、NewRetail(新零售)とは、2016年10月、アリババの馬雲(JackMa)が「まもなくECの概念が消滅する」と発言したのを機に注目された概念。オンラインとオフラインをテクノロジーにより統合することを指します。

 さて、アリババ発とも言えるNewRetail(新零售)ですが、もちろんテンセントも力を入れています。この点、アリババが全く新しい小売店を「盒马鲜生」として立ち上げたのに対し、テンセントは既存の大手スーパー「永辉超市」に出資し(2017年12月に5%の株式を取得)、同社と戦略提携しNewRetailブランドの「超级物种」を立ち上げる戦略を選びました。「超级物种」は、福建省の福州に第一号店を開業して以来、深セン、北京、上海、南京、成都等に店舗を拡大しています。

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 超级物种は既に深セン市内でも7店舗程、展開しており、今回は、テンセント本社のあるソフトウェア産業基地の店舗へ行ってきました。

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 店内の様子は、上記の通り。生鮮食品の購入の他、フードコートも設置それており、現場で食事をすることが可能です。特に、今回私が感動したのはその決済方法です。この点に絞って以下、お伝えします。

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 その決済方法は、上記写真にある通り。つまり、まず一番左のQRコードをスキャンし、そして購入したい商品のQRコード・バーコードを読み取り、モバイル決済で支払いを行うというもの。つまりこのスーパーにはレジがありません。そして、この一連の操作は全てテンセントのSNSアプリ微信を通じて行います。

 まず、SNSアプリ微信上でこのQRコードを読み取ると、超级物种専用のミニプログラムが作動します。

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 そして、このミニプログラム上の「打码购」をタップすると、もう1度QRコードを読み取る画面が登場します。そこで、下記の写真の通り各商品のQRコード(バーコードでも可)を読み取ると、商品情報が読み取られ、微信支付(WeChatPay)等、スマートフォン上で決済が完了します。

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 このように消費者の購買行動は、全てスマートフォンを通じて行うことができるのが、超级物种の特徴と言えます。盒马鲜生も全てスマートフォンで決済まで行うことはできますが、超级物种はレジそのものを完全に消滅させています。
 他方でレジが存在しないことから、誰が決済をしたのか、店員からは客観的に分からず、万引きの温床になってしまうのではないかという懸念が当然思い浮かびます。

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 この点、店舗内には至る所に監視カメラが設置され防犯に余念がありません。ただ、監視カメラが多いかと言って各々の消費者がモバイルで決済できたかどうかをこの監視カメラによって全て判別しているとはどうしても思いません。店舗の人の話を聞くに、監視カメラの顔認証システムがその鍵を握るようです。中国では、スマートフォンの決済を行うに際し、必ず実名登録を行っています。そのため、微信(WeChat)で超级物种のミニプログラムを起動する段階でどこの誰が店舗に入ったのか記録がされていることになります。さらに、監視カメラの顔認証システムによる入店、退店記録により防犯をしていることが伺えます。

 もっとも、レジがない「超级物种」はまだまだ一部の店舗に限られており、テンセント本社の近くにあるこの店舗はそういった意味でまだまだ検証段階の店舗なのかもしれません。ですが、この店舗の300m程先にあるテンセント本社は平日土日の昼夜を問わず明かりがともっています。彼らのインターネットサービスの開発、改善のスピードは残念ながらもはや日本企業の比ではありません。

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 テクノロジーの社会実装を進める中国、そしてその最前線の深センでは、本当に日々新しいサービス・商品が生まれ、その速度についていくのは本当に大変です。近い将来の完全無人化のスーパーは、この深センから誕生するかもしれません。

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