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正念場の中国新興コーヒーチェーン“瑞幸咖啡(ラッキンコーヒー)”

 2018年の1年間で2000店舗を展開し、スターバックスに次いで中国国内第2位のコーヒーチェーン店となったのが、瑞幸咖啡(ラッキンコーヒー)です。1月に北京に第1号店を開店後、22都市に展開、年末には上海で2000店舗目をオープンしました。スターバックスが17年かけて中国で展開した店舗数にわずか1年で達成。巷では、タクシーアプリ『滴滴』、シェアリング自転車『Mobike』等と同様に採算度外視の投資先行ビジネスと揶揄もされています。

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多くの店舗は、厨房のみの出前・テイクアウト型

 瑞幸咖啡の特徴は、中国のニューリテイル(小売りにおけるオンラインとオフラインをテクノロジーにより統合する)を意識しています。注文・決済は全てスマホから。レジカウンターはありません。アプリから飲みたいコーヒーを選択すると、最寄りの店舗が表示され、テイクアウトかデリバリーかを選択できます。カフェ形式の店舗もありますが、多くは厨房のみの出前・テイクアウト専門店で、店舗スペースを必要最小限に抑えています。大都市ではオフィスビルの1階に多く見かけるようになってきました。アプリでは店舗の様子や出来上がり時間も確認できますので、並ぶ必要がありません。オフィスでコーヒーが飲みたいと思った時にアプリで注文して、ちょうどよいタイミングで取りに行くことができます。

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 飛ぶ鳥を落とす勢いにも見える瑞幸咖啡ですが、冒頭にある通り大幅な赤字です。2018年第3四半期までの売上が3.75億元である一方で、純損失を8.57億元計上しています。同じく投資先行型で苦境に陥ったシェアリング自転車の「ofo」の二の舞か?と憂慮する報道も見られますが、瑞幸咖啡側は新年早々の事業戦略説明会で「赤字は想定内」と発言し、強気の姿勢を崩しません。更に2019年には新たに2500店舗を出店し、スターバックスの店舗数を超える計画であることも明言しています。最近では、中国の某経済誌が、瑞幸咖啡の巨額の先行投資(店舗賃借料、従業員人件費、広告費)と瑞幸咖啡の収入を分析して、『経営的に持続しない』と結論を出した記事が賛否両論を呼び大議論を巻き起こした後、記事自体が削除されたことからも、今が今後の持続可能性について一番ナーバスな時期になっていることが伺えます。

追伸:5月17日米国ナスダック市場へ上場し、好調な滑り出しのこと。黒字化の目処が完全に立っていない中で、ここまで早く上場ができたことに素直に驚いています。


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