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「元」通関士が語る「通関士が携わる保税蔵置場」(後編)

通関士の人が保税蔵置場に異動?「これは理不尽な左遷人事?」・・・ではありません。

 前編では、主に「保税蔵置場」が「外国貨物」を取り扱う倉庫であるという話をいたしました。
 私は実際に、大阪、東京の「計3ヶ所」において「保税(蔵置場)」担当となりましたが、「通関士登録を行った上」で業務にあたっておりました。
 前編でも話をしましたが、保税蔵置場は「税関対応」が発生することで、その担当者が「通関士」であることの信用は大きいからです。

「通関士から倉庫担当の異動って、理不尽すぎでは?」

と思っている読者様もいらっしゃることでしょう。

もし、皆様の中で

「せっかく、通関士になったのに倉庫担当に異動になる可能性があるなんて、嫌だなぁ。」

「通関士になんて、なるもんではないなぁ」

とマイナスイメージが先行してしまったのであれば、そのイメージは「正しい」ものとは言い切れません。

 私は、その「保税担当」になるために、会社の費用で「東京税関保税部門の税関OBの方」の下で1ヶ月以上、修行をさせてもらい、その時に大阪在住であった私は「東京での1ヶ月間のホテル暮らしの費用を全額負担」してもらっています。
 つまり、社内における「あるプロジェクト」が動き出したタイミングで「大阪で通関士をしていた私に声がかかった」ことになり、皆様が想像してしまうような「左遷人事」ではありませんでした。

 当時の私は、このプロジェクトに乗っかることで「通関士として、専門性を高める」選択ではなく、「通関と保税の立場から関税法を網羅してみたい気持ちが強かった」ということになります。

 後に、この会社が「吸収合併」されることで、「通関士として転職」せざるを得ない状態となり、「長いブランクになってしまったことを後悔した」という話が、前回の「突然、通関士でなくなる日」につながることとなります。

「プロジェクトに抜擢されたと思って、その道を迷わず進んでいたら、会社が吸収合併されて転落。会社員としての人生って、なかなか上手くいかないよね」

という、「笑い話」だったということです。

「通関士の方が、保税蔵置場担当」ということも、是非、人生の選択肢の一つに!!

 なかなか「求人としてはレア」なものとなるため、「転職」としてオススメできるものではありませんが、保税蔵置場を抱える国際物流会社であれば「社内の異動希望」としては、意外とアリかもしれません。

「保税」に関しては、私は「輸出入」の両方に携わりました。中でも「輸入保税蔵置場」時代が、特に印象に残っています。

 そこは、皆様も当然に知っているであろう「ヨーロッパの一流ブランド」の鞄や財布、衣類を扱っている「日本国内で唯一の拠点となる保税倉庫」でした。

 つまり、皆様が普段、目にしているであろう「その一流ブランド」は並行輸入品を除けば、すべて「私の所属していた保税蔵置場」で扱われ、流通されていたことになります。

 保税担当4名(作業責任者を含む)、通関担当5名、ロジスティクス担当8名、流通加工を行うパートスタッフ約50名

で構成された、そのチームの「旗振り役」を「保税担当」が行っていました。
 海外から到着する貨物を「適正に保税蔵置場に搬入」できて、初めて「通関」が可能となり、「流通加工」ができることになるからです。

 私は、その「一流ブランド品」を百貨店や、アウトレットモール等で見かけるたびに、

「この新作は、確かに先日に海外から到着してたなぁ。」

と「勝手に一人ウィンドショッピング状態」であったことを思い出します。

 また、国内外で多くの見学者を受け入れ、香港や韓国のCEOと呼ばれる方々、税関本関の税関長が視察されることもありました。

 もちろん「通関士」をしていた時も「現在でもテレビCMで見かける有名企業」の通関を何社も担当しましたが、それとは「一味違う世界感」があったように感じています。

 少し「過去の自慢のようになってしまった」ことを申し訳なく思っているのですが、「通関士から、こういう仕事もできるよ」という紹介をさせていただくことも必要であると思いました。

「元」通関士が語る「保税蔵置場」

「通関士試験合格チケットの活かし方」の一例として、少しでも参考になれば嬉しく思います。

本日も、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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