「元」通関士が語る「通関士に通関依頼をする意外な人たち」(前編)
noteの読者の皆様。
「通関士の仕事」と言えば何でしょう?
「税関に提出する『申告書』を作成すること」と答えた方は正解です。
本日は、ここで「もう一歩」踏み込んでいただきたいのが
「通関士に申告書を作成してほしい」と依頼してくるのは『誰』?
ということです。
「それは、貿易を生業としている会社や個人なのでは?」
今回は、「通関士に申告書類の作成を依頼してくる意外な人たち」をテーマに「私が過去に携わった仕事」を例に紹介していきたいと思います。
ただ、過去の事とは言え、デリケートな部分に触れてしまう可能性もありますので、「事例が特定できないように、ぼんやりと」書いていこうと思います。
「通関士って、意外と夢があるなあ」と読者様が思っていただけるような内容にしたいと思っています。
意外な依頼者①「外務省関係者(大使館職員・総領事館職員を含む)」
皆様の中で「外務省関係者」と、お仕事をされている方はいらっしゃいますでしょうか?
「普通、いないでしょう!!」
という感想をお持ちの読者様が多いと思いますが、「通関士」は意外と関わりになることがあります。
つまり、通関士は「外務省関係者」の依頼を受けて税関への申告書を作成することがあるということです。
まったくの「雰囲気」的な話となりますが、「財務省管轄の通関士」と「外務省職員」のコラボと聞くだけでも「夢がある」ように思えませんか?
では、具体的に見ていきましょう。
事例1)国際会議に出席する要人の「公用車」の通関
皆様も、日本で開催される「国際会議」の話題をニュースで見たことがあると思います。
「〇〇サミット」
みたいなものです。
では、その国際会議に出席する「(海外の)要人」と言われる方は、日本国内での移動手段はどうされているのでしょうか?
「タクシーアプリGO」で手配されるわけでもなく、「新幹線のグリーン車」で移動するわけでもありません。
実は、要人の来日に合わせて「要人専用の公用車」が同時に日本に到着していることがあるのです。
そして、その輸送手配を取り仕切っているのが「外務省〇〇〇室」というような「外務省関係者」となります。
私はこの「公用車」の通関に携わったことがあります。
詳細はこれ以上、書くことができないですが、この依頼が来たときは「絶対にミスはできない」と準備に準備を重ねることになりました。
何度も税関に足を運び「これで大丈夫か?この申告方法で問題ないか?」の確認を行いました。
同時に税関職員の方にとっても「日本の税関は、要人の公用車の輸入許可を拒んで、嫌がらせをしている」と思われるわけにもいきません。
振り返れば、税関と通関士がお互い「絶対にミスはできない」という状況のもとで、協力してできた仕事であったように思います。
通関士歴11年で「たった一度だけ」の経験となりましたが、もしかしたら「通関士である、あなた」にも突然の依頼があるかもしれません。
事例2)「大使館や総領事館で行われるパーティ(夕食会)で提供されるワイン」の通関
「11年に1度の事例をあげられてもねぇ」
と思われた方に、もう少し「よくある」事例を紹介したいと思います。
大使館や総領事館では、「パーティ(夕食会)が開催」されることがあります。そこでゲストとなる参加者のために提供される「ワイン」の通関依頼は意外と「普通にある依頼」の一つです。私にも数回の通関依頼がありました。
この時の依頼者は「(外務省の管轄である)大使館職員または総領事館職員」と言われる方々となり、配送先は「在〇〇(国名)日本国大使館」のような場所に直接持っていくことになります。
「大使館でのパーティなんて、映画やテレビの中でしか見たことがないよ」
という皆様の感想が聞こえて来そうですが、通関士は「パーティにお呼ばれすることはない」ものの、「そこで、提供されているワインは、実は通関士が通関しているよ」ということです。
前編では、主に「外務省」にスポットをあててみました。後編では、「今回とは違う、意外な依頼者」をご紹介していきたいと思います。
後編に続く