少年よニヒルを超えろ

「神様の都合のよい夢で、ぼくらみんな痛みを持たされてかわいそう。」目から溢れるそれは海に還りたいと願う証拠なのですが、海も神様が作ったという噂が流れ始めてからというもの、天国など本当は存在しないのではないかと、クラスメイトたちは惑い嘆いている。ぼくは教室の端っこで頬杖をつき、飛び交うアダムとイヴの件はそっちのけに、超現実的宇宙について考えていた。幼稚なきみたちには分かるまい、ぼくの苦しみは悩みとかそういったレベルではないのだ。もはやその涙や討論すら無意味だということは言わないでおいてやろう。感情なんてものは物質の化学反応にすぎないし、悟りとは諦めなのだ。ぼくは小さくため息をつき、窓の外に目をやった。

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