美人の膝の上で今宵

所詮狂いきれなかった変人だし、このへんで死んでおこうか?いちばんださくて、いちばん幸せなぼくを、柔らかく許容する母性。強い人間でありたかった、いつも誰よりも。慕われることが生き甲斐であり快楽だ。瞬間がよければ何だってよかった。大切にしていたつもりのものが壊れても、水は空洞に流れ込む。今必要のないことは忘れるべきだ。たとえば泣いてみたりもしたかったよ。きみが夢みた土地でひとり、他人の温もりに顔をうずめている。こんなにみっともないぼくのことを、どうか綺麗に忘れていますように。

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