台本のない脇役のように

ハッピーバースデイとご臨終の真ん中
ただ凡庸に暮らしている
掌にはご先祖様みんながいらっしゃって
だらしのない私にひどく怒っている様子

畳の上で仰向けになる
目を閉じて無視を決め込む
安売りの落雁を唾液で溶かして
自分の無欲さに安心する

日が落ちてやっと外に出た
化粧はしない髪もぼさぼさで
近所のおばさんに会ってしまったから
仕方なく愛想の良さをみせつける
生ぬるい風
よその犬を撫でてむなしい

このさき華々しいイベントも
事件も衝撃もなくたっていい
順調にスピードを上げながら
ひっそり終わってゆけたら最高
痛いとか苦しいとかなるべく避けたいの
存在しないものは失くさないでしょ

掌にはもうだれもいなくて
清々してしあわせ

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