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海が好きなひと

水面にキラキラ輝く光のようなひと
あまりに眩しくて目を細める

彼女は力強く、それでいて温かい
希望そのものみたいだ


何度かここへ来たけれど
何年も綴ることができなかった

彼女の確固たる血の通った言葉は
たぶんとてつもない栄養があって
こうして今、筆を執る


わたしはわたしに対して
ほとんど傍観者のようだ

過ぐる日、ある臓器を悪くした
異変を異変と認識できなかった
大丈夫、これくらいなら動ける、弾ける

症状を調べてみると
とても耐え難い背中の激痛とあって
それでも認識できなかった
どうにか立ってられる痛みだから多分違う

結果は散々だ
そんなことを繰り返していたら
ある日突然、絵が描けなくなった
わたしにとって
色彩は大切なカタルシスを担っている
それが忽然と消えた

音と色彩で均衡が保たれていたものが
バランスを失う
それはアイデンティティの故障へも繋がった

動かない、描けない、弾けない、

それでも分からなかった
たぶん、今でも分かっていない


そんなところへ彼女は
絶対的な希望と栄養を携えやってくる

抽象的にしか語れないわたしの言葉を
きっと一生懸命に汲み取って
彼女にしかない言葉の温度、光を魅せる
まるで栄養過多になるほど
その輝きのわけ、片鱗を感じた


大丈夫だという彼女の言葉
細胞が瑞々しく踊るような心地
ただそれが嬉しかった

外側に救いもあるのかもしれない
そんな軽やかな風が吹く、

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