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アンティークコインの世界

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前7世紀に世界で初めて金属製の円形コインがリディア(現在のトルコに位置した古都)で発行された。物々交換の効率の悪さから解放され、小さく軽く携帯しやすいコインによって人間はさらに商…
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2021年9月の記事一覧

アンティークコインの世界 | スイスのターレル銀貨

今回は、スイスのベルンで発行された一枚のターレル銀貨を紹介する。スイスはドイツで使用されていた単位ターレルを基準に貨幣を発行した。それゆえ、ドイツのものと同じく、スイスのターレル銀貨も直径40mmを超える大型貨幣で非常に見応えがある。スイスのコインと言えば射撃祭シリーズが有名だが、それ以外はマイナー気味であまり知られていないかもしれない。だが、スイスのコインは周辺のヨーロッパ諸国とは異なる独特のデザインや造りが目を惹く。 図柄表:熊と盾紋章(Bear and Crowned

アンティークコインの世界 | レオポルト1世のハーフターレル銀貨

今回も神聖ローマ帝国下で発行されたコインを紹介していく。神聖ローマ帝国のコインはバラエティが多く、非常に面白い。また、彼らによって発行された大型銀貨は無骨だが、何とも言えぬ魅力を秘めている。繊細さで言えば、他の時代や国家のものの方が優れているのかもしれない。それでも、存在感という点では最高峰の満足感を誇る。下記、今回紹介するコインの基本スペックを最初に示す。 図柄表:レオポルト1世 図柄裏:双頭の鷲紋章 発行地:神聖ローマ帝国ハンガリー王国クレムニツァ造幣局 発行年:169

アンティークコインの世界 | ザクセン三兄弟ターレル銀貨の魅力

今回はタイトルにある通り、神聖ローマ帝国ザクセン選帝侯領で発行された「三兄弟ターレル」と愛称される銀貨について紹介していく。少し前からターレル銀貨の魅力について連続的に紹介しているが、今回もこの銀貨について述べる。巨大で描写が鮮明且つ美麗なターレル銀貨は、私たちを魅了して止むことがない。 図柄表:クリスティアン2世、ヨハン・ゲオルグ1世、アウグストの三兄弟肖像(Christian II, Johann Georg I, and August) *彼らの統治期間は1591〜1