雑記|同窓会に若者が入らないと嘆いている組織に思うこと
「若者の◯◯離れ」が大喜利レベルで溢れている。
若者の車離れ、若者の酒離れ、若者のテレビ離れ、若者の政治離れ、若者の結婚離れ、etc, etc.
若者の同窓会離れについて、私の見えている範囲でちょっと思うところがある。
最近、同窓会に人が来ない、という。
会員組織に人が入会しない、という。
私も卒論で大学の同窓会の発行物を大きな柱として取り上げたから、近年会員の伸びがなくなっていることも知ったし、人が連帯する力を知ったから、悩ましいことだと思った。
高校の同窓会も複数あるが、1つは行ってみたら70代80代がほとんどという事があった。70近くまで責任ある立場で仕事をしている人はこんなにパワフルで若々しいのかと、これはこれで非常に学ぶところが多かった。
同じような悩みを、仕事をしてから出会った同窓会組織からも聞いた。
どの組織も、運営側の方々は私があと数十年仕事しても同じ場所に辿り着けるかという、素晴らしすぎる人たちで、本気で会員のことを考えている。
でも、「これから会員になって欲しい人」のことは、実はあんまり考えられていないんじゃないかと思う事がよくある。
例えば、「若い人がきてくれたら皆喜ぶし勉強になるからおいで」という言葉。同窓会だから許される誘い文句だと思う。
当然その通りなのだが、これでは組織に貢献しつつ自分で学びに行こうという積極的な人しか入らない。大多数はそんな殊勝な志を最初から持っていないから、入会の動機にならない。
登録者数が伸びている会員制ビジネスは、「既存ユーザーのためにきて欲しい」なんて言わない。「今新規入会するとこんなメリットがある、こんな人と出会える仕組みがある、こんなサポートもしてあげる、だから登録しよう!」と言うはずだ。
結局、一番最初にユーザーになってくれた人、「かつて若者だった会員」の方にしか向いていないのだ。
新規ユーザーをコミュニティを作るための要素として捉えていて、新規ユーザーがなぜコミュニティに来てくれるのか、が同窓会には抜けている。
若者は別に集まらないのではない。SNSにも、マッチングアプリにも、週末のスポーツ観戦にも若者は結構いる。
メリットがあれば若者は集まって群れを成す。同窓会には来ないだけだ。この点を、重く受け止めて変えていくべきだと思う。
例えば、同窓会が持つ一番強力なデータは会員データなので、「どんな人が多いのか」「どんな人を結びつけたら面白い化学反応が生まれるか」を考え、それを「このイベントは自分のためだ」と思ってもらえるように発信する、というような基本的な取り組みがまだまだできると思う。
そもそもなぜ若者に入ってもらわないといけないのか、その理由が「存続させるため」であればもう一段考えていく必要がある。
シニアがかつて若者だったとき、自分たちの利益と楽しみのために同窓会に入っていたのと同じで、若者は別に今のシニアを楽しませる為に同窓会に入る訳ではないのだから。
その上で、ブランディングやマーケティングが活きてくるような気がする。
⑴同窓会(会員組織)の目指す方向性があり、会員や非会員にもその理想が共有されている
⑵同窓会には、その方向性に近づくような企画や取り組みが生まれる仕組みがある
⑶会員や非会員にそれが伝わるようなコミュニケーションが継続的に取れている
大体同窓会は⑴〜⑶のどれかが考え抜けていなかったり、できているように見えて⑴と⑵が一貫していなかったりすると思う。(みんなの為に、と言いつつ、既存ユーザーのための新規ユーザーだと扱われているような印象を受ける発信だったり。)
同窓会組織が若者に何を提供できるかという視点、もっというと若者が同窓会組織に何を求めればいいのかを明示する事ができれば、会員集めはやりようがあるはずだ。
(余談・私も今期、大学のある同窓会の企画側の方に、片足を突っ込むことにした。正直組織の全体像も見えていないのだが、上に書き留めた事を備忘録として、できる範囲でやっていきたい)
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