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娘に贈る回顧録 9/7300 空を見上げて

学校を休むことが多かった。

アレルギーで肌の調子が悪いと、
気持ちも落ち込む。

かゆみと痛みで夜も眠れない。

やっと寝付いた頃には、
空が明るくなっていた。

今から起こして学校へ行かせるのは、
身体が辛いだろう。

まだ1年生だし、今日はお休みさせよう。

寝ている間に、
部屋の掃除。

昼前に目覚めて、またグズリ出す。

食事、そして薬。
お風呂、そしてステロイド。

おとなしくしてくれている間に、
寝具の交換と洗濯。
食器の片付け。

やっと落ち着くのは夕方になってから。

夕飯はどうしよう。
買い物には行けなかった。

洗濯物取り込んで。
片付けて。
座り込む。

疲れた。
眠い。
心配。
なぜ。
どうして。

アレルギーさえなければ。

※※※※※※※※※※※※※

『くまさん』
『おさかな』

窓際から声がする。
近づくと、空を見上げて
指をさしている。

雲。

力が抜けた。

そうだ、
一番辛いのはこの子なんだ。

痛みに耐えて、ベタベタな薬も
我慢して。

お友だちとも遊べない。

ただ空を見上げて、
気持ちを紛らわしているのか。

「他には何が見えるかな?」

振り向いて、笑顔。

しばらく、想像遊びに興じる。

いいじゃない、こんな日も。

お風呂もいれたし、
お昼ご飯も食べさせたし、
洗濯も、
掃除も、
ちゃんと終わったし。

夕飯は納豆ご飯と味噌汁だけど。

この子と笑いながら過ごせる時間を
もう少し。

※※※※※※※※※※※※※※※※

今夜は眠れるだろうか。
明日は学校に行けるだろうか。

笑顔を見られるだろうか。