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好きの手入れ|「きらきらひかる」江國香織(読書日記)

あなたのバイブルは何かと聞かれたら、まず1番に思い浮かぶのが江國香織さんの『きらきらひかる』

アル中の妻「笑子」と同性愛者の夫「睦月」の結婚生活を描いたお話。
睦月の恋人である「紺」も含め、それぞれをお互いに大切に想いあっていて、純粋な愛情がギッチギチに詰まった名作です。
三角関係といえばそうなのだけど、愛憎渦巻く泥沼ストーリーには決してならないのでご安心頂きたいよ。
なぜこの話がバイブルなのかというと、幸せという概念を形作ってくれた本だから。つまりめっちゃ温かいの。タイトルの通り、きらきらひかっているんだよなあ。

刊行は1994年。物語の設定上、2024年の令和時代ではジェンダーの話に持っていかれそうなのだけど私から言わせて頂くとナンセンス!そんな話ではないの。
これは心の結びつきの話で、ジェンダーとかは関係ない。というか意味ない。
ただ互いが大切なだけで、その切実な気持ちが優しくて切ないのだよ。

恋愛観にも強く影響を与えられた。(夫の性格が睦月に似ているというのもある)私の夫はとんでもなく優しい人で、日々私のワガママを受け入れ続けてくれている。かれこれ十年近く。妹や親しい友人たちは、「アナタは旦那さんと過ごすうちにワガママモンスターになったね」と笑う。
ぐうの音も出ないほど正しい。それについては、全身全霊の感謝。すっごい感謝している。
だけど、本当は何もしてくれなくていいの。信じてもらえないかもしれないけど。
彼に言ってるワガママっていうのは私にとっては些細なことで、些細なことだからワガママを言えているだけなのです。

睦月は紺しか抱けない。セックスをしない睦月と笑子は、心で繋がるしかない。
「水を抱くようなものでしょう」睦月のお父さんはそうやって言っていたけれど、相手にこうしてほしいとかこう在ってほしいとか思っていない。(だろうと私は考えている)
分かるなーと思う。ただその人が大切ってだけで強固な絆が作られているって究極にして基本じゃない?

強いて私が唯一、夫に大きなことを望むとしたら「彼を形づくっている要素たちが無くならないこと」くらい。でも人は時と共に流れて変わるもの。彼も、私も、私たちが身を置く環境も。
「このままでいたいだけなのに」と号泣して真っ直ぐに訴える笑子。
「でも、変わらないわけにはいかないんだよ」と優しく折り合いをつけようとする睦月。
どっちの思いも痛いほど分かる。十代の頃から何回も読みかえしているから、二人の思いは完全に私の中にインストールされている。

だからね、こう信じるようにしてる。彼がいる幸せを忘れない日がただ毎日来る。変化の中で相手を大切に思う気持ちを手入れし続けて生きてる。そうしたら、大好きな彼とずっと一緒にいられる。

つい壮大なラブレターみたいになってしまった。バイブルを紹介するのって熱が入りすぎちゃうね。こんなペースで誰かに読んでもらえるか不安になってきたので、次からはちょっとセーブしようと思います。

とにかく私はこの物語をとても大事にしていて、それは私の親友であるタンポポも知るところである。私の結婚式で友人代表のスピーチをしてくれた彼女は、こんな言葉を贈ってくれた。
「どうか(夫)さんとこのまま変わらず、でも、少しずつお二人らしく変化していく生活をずっと続けていつまでもきらきらひかっていて下さいね」
あまりに自然に繰り出されたその言葉は、私だけが真に理解出来るメッセージ。こういう小粋なことをしてくるんですよね、彼女は。無事に号泣。

これ以上は読むのも疲れてくると思うので、私的なグッとくるポイントは絵にしました。伝わるといいな。

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