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風刺画から見る中東情勢 #14

中東の表現の自由について。

今回の風刺画は2017年5月に描かれたものです。わざわざ2年以上前の古い風刺画を持ってきたのには意味があります。タイトルは『記者マフムード・フセインの逮捕の連続!!』です。

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(参照:al-Jazeera 2017/5/4 )

カタールの報道局アルジャジーラの記者マフムード・フセインが、「ジャーナリズムの自由」というプラカードを持ったエジプト大統領シーシーによって口を抑えられています。

2016年12月22日にマフムード・フセインはエジプトで逮捕され、なんと今日2019年9月19日まで逮捕され続けているのです。その逮捕理由も明らかにされず、裁判もなく、今までその状態が続いているのです。

今日はその逮捕からちょうど1000日目ということで、アルジャジーラがマフムード・フセインの特集記事を出しています。

またTwitter上では「#マフムード・フセインに自由を」というハッシュタグが使用されています。

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他にも「#私たちはジャーナリズムの自由を求める」だとか「#ジャーナリズムは犯罪ではない」といったハッシュタグが広まっています。

中東の報道局の中では比較的自由な報道を行うことで知られるアルジャジーラですが、その自由な報道というのが、当時のシーシー政権にとって目障りなものであったのでしょう。

また根底には、カタールとエジプトの関係の悪さというのも理由にあるでしょう。カタールはシーシー大統領の前のムルシー大統領を支持していました。そういった国同士の関係も絡んでくるでしょう。

いわゆる「表現の自由」が政治的理由によって制限されることがあるということは、もちろん中東だけである話ではないと思いますが、中東では国家による情報統制などそういった話題がよく取り上げられる地域ではあります。またそういった中東における表現の自由は、しばしばアラブ人自身も批判しています。

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これはサウジアラビアの風刺画家アブダッラー・ジャーベルさんの風刺画です。彼はTwitterでも150万人ほどフォロワーのいる比較的有名な風刺画家です。

絵の右側は、大臣のような偉い人です。彼は棍棒を持ちながら「ほら、、おまえの意見を言ってみろ」といっています。一方で、左側の人は、ブルブル震えて自分の意見を言うのをためらっています。こうして権力者によって、表現の自由は押さえ込まれるのです。実際、この風刺画の作者のアブダッラー・ジャーベルさんも、一時期風刺画をネット上で広めるのを禁じられていました。

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これもアブダッラー・ジャーベルさんによる風刺画です。

いろんな国籍の人が、プラカードや横断幕をもって表現の自由のためのデモを行なっています。横断幕には「私たちは表現の自由と共にある」と書かれています。

しかし、真ん中で横断幕をもているアラブ人は隣の人に「表現の自由ってなに?」と聞いています。それほどまでにアラブ諸国に表現の自由はないという風刺であります。

繰り返すように、これはアラブ諸国や中東に限ったことではないと思いますが、アラブ人自身問題意識を抱えているようです。

それでは。


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