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「意志の強さ」より「環境づくり」が大切だよ。というお話。

「意志あるところに道あり」

僕がずっと大切にしている言葉だ。
この言葉との出会いは、中学生3年生のとき。

勝てば「関東大会出場」という大一番の試合で、僕は先発ピッチャーを任された。
このような大事な試合は、通常エースが投げる。チームの3番手ピッチャーだった僕には、本来であれば縁遠い試合だ。しかし、対戦相手のエースがマイクという、日本とアメリカのハーフだったため、監督が「だったらこっちもそれで行く。マリンズ、お前明日先発な。」よくわからない対抗意識で、先発することになった。

未経験の大舞台を前に、ガチガチに緊張した。試合の前日の夜は、ご飯が喉を通らなかったのを覚えている。そんな僕を見兼ねたアメリカ人の父親が、何も言わずに、僕の帽子のツバの裏に “Where there's a will, there's a way.(意志あるところに道あり)”と書いてくれた。

普段は、つまらないアメリカンジョークを口にしている父親が(たまにホームラン級の面白いジョークもあるが、打率にしたら、.150くらい。プロ野球選手なら、即クビだ)その日は珍しく、真面目に “It comes down to willpower and determination. I know you can do it.”(こういう時に1番大事なのは“意思”だ。お前ならできる。)と言ってくれた。

試合は、7回コールド勝ち。
僕は相手打線を0点に抑え、関東大会出場を決めた。(僕たちはチーム創設以来初の関東大会優勝優勝(全国大会ベスト16)を成し遂げることができた)

以来、「意志あるところに道あり」を座右の銘として大切にしている。

この原体験があるからこそ、僕はいまでも「意思の力」とその可能性を盲信している。「意志」があれば、大抵のことは成し遂げられると信じているし、自分自身、いつも根拠のない自信があるのは、このためだ。良くも悪くも、この成功体験が土台になっている。

しかし、どんなに強い「意志」をもってしても、「環境」の前では、まるで歯が立たないことを、都内から大宮に引越してきて2週間が経ったいま、実感している。
どういうことか?

新社会人になった時まで話は遡るー

学生時代を野球に捧げていた僕は、勉強をロクにしてこなかった。そのため、社会人になった途端、そのツケが回ってきた。社会人として身につけておくべき常識や知識をまるで持ち合わせていなく、何をやってもうまく行かなかった。周りにもバカにされた。(見るからにバカそうだ・・・)

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そんな実力不足の自分が不甲斐なかったし、野球を優先して、勉強をしてこなかったことを心の底から悔やんだ。しかし、まさにその野球を通して得た「意志の強さ」を武器に、バカにした人たちを全員見返してやろうと誓い、僕は勉強に没頭した。

勉強の成果は、すぐに結果として表れた。仕事ができるようになり、周りの見方や評価も変わった。それが嬉しくて、もっと勉強に打ち込むというポジティブな連鎖が生まれた。いつしか勉強をすることが習慣となり、勉強をしないと不安に襲われるようにまでなった。

そんな中、転職をきっかけに、妻とお腹の中にいる子どもと一緒に渋谷へ引っ越すことになった。ダイニングテーブルすら置けないような、ご飯をコーヒーテーブルで食べるような、とても狭い家だったのだが、「転職先へのアクセス」を最重要視していたため、「家の環境」を妥協した。しかし、この決断がまずかった。

僕は自分の「意志の力」を過信し、
自分の身を置く「環境」を甘く見ていた

というのも、渋谷に引越しをした途端、勉強をしなくなった。
いや、「できなくなった」という表現の方が適切かもしれない。どれだけ強い意志を持っていても、家についた途端、やる気がなくなってしまう。「わざわざカフェに行くのは、お金が勿体無い」「ダイニングテーブルで勉強って、なんか気分が乗らない」など言い訳ばかり。渋谷にいた3年間は、それまでの3年間と比べ、勉強量は10%未満だったと思う。

勉強するという習慣が完全になくなり、勉強をしない危機感すら消えかけてたタイミングで、大宮への引越しが決まった。家の広さはほぼ倍に。前回の反省を生かし、「環境づくり」を優先した。当然、(かっこいい)ダイニングテーブルを新調した。するとおもしろいことが起こった。

特に意識せずとも、自然と勉強するようになったのだ。出勤前と就寝前に、インプットとアウトプットをするようになった。自分でも驚くほどの、変化だ。

渋谷では強い意志を持っていたにも関わらず、行動に移せなかった。一方で、強く意識していないにもかかわらず、大宮に引っ越して環境が整った途端に、自分の行動が大きく変わった。なんとも皮肉な話だが、人間の特性を踏まえると、理にかなっているのかもしれない。

現在が過去の意思決定の積み重ねであるように、未来は現在の意思決定の積み重ねで作られていく。であれば、「強い意志」と「環境」を掛け合わせれば、明るい未来への「道」を切り開けるはずだ。

しかし、それよりもまず、失った3年間を取り戻す道のりの方が長そうだ・・・。

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