モズの"はやにえ"にされる日本のカメ
肉食の鳥類であるモズは、捕えた獲物をなわばり内の木々の枝先などに突き刺して"はやにえ"を作ります。
バッタ類などの昆虫、アマガエルなどの両生類やニホンカナヘビなどの爬虫類が"はやにえ"として枝に突き刺さっているのを見たことがある方も多いのではないでしょうか。
中には、「どうやって食べるのだろう」と不思議に思ってしまう動物の"はやにえ"もあります。その筆頭として、カメがあげられるでしょう。
以前、私は日本に生息するカメ類の捕食者を整理した和文(加賀山・小賀野 2021)を出版したのですが、その文献調査の過程で、外来種のクサガメとミシシッピアカミミガメの孵化幼体が"はやにえ"にされている写真が撮影された(ネット上に写真が存在する)ことがあることを知りました。
これまで、クサガメやミシシッピアカミミガメなどのカメ類ががモズの"はやにえ"にされていることを論文として記載したものが見当たらず、モズの餌メニューになっているなどと考えたこともなかったからです。
そこで、加賀山・小賀野(2021)では、サイトのURLを明記した上で、2種のカメが"はやにえ"にされることがあることを紹介しました。以下に該当サイトを貼ります。
クサガメの事例
以下のサイトで"はやにえ"にされたクサガメの孵化幼体の写真が見れます。
ミシシッピアカミミガメの事例
以下のサイトで"はやにえ"にされたミシシッピアカミミガメの孵化幼体の写真が見れます。
私が知る限り、モズの"はやにえ"にされたカメは上記の2種しか見当たらなかったのですが、先日Twitterで"はやにえ"にされたニホンスッポンの画像がまわってきて驚きました。
どうやら、色々な種類のカメがモズの餌食になっているようです。とはいえ、写真を見る限りどれも孵化幼体ほどの小さい個体であるため、さすがのモズも大きく成長したカメはハンティングできないのかもしれませんね。
今のところ、"はやにえ"にされたニホンイシガメは報告されていませんが、この様子だとモズの餌食になっていてもおかしくなさそうですね。
自分の研究対象種でもあるので、"はやにえ"にされたニホンイシガメだけは俺が最初に見つけたいです。
もしかしたら、既にどこかの鳥屋さんが撮影したまま手元にしまい込んでいるだけかもしれませんがね。
参考文献
加賀山翔一・小賀野大一. 2021. 日本に生息する淡水性カメ類の捕食者に関する文献調査. 爬虫両棲類学会報 2021(1): 36-43.
今回はこんな感じで。
ではでは。
カメは売らずにカメでお金を稼ぎたい。そんなお年頃です。