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なぜ猿を「エテコウ」と呼ぶのか。

藤子不二雄と言えば、藤本先生(藤子・F・不二雄)ともう一人、安孫子先生(藤子不二雄Ⓐ)である。

このnoteでは、主にF先生の記事を書き綴っているが、実はA先生の作品も素晴らしいものばかりで、こちらもおいおい紹介したいと考えている。

子供の頃、夢中になって読んだA先生の漫画は数多いが、その中で「プロゴルファー猿」は、その後の人生に影響を与えた一冊だ。

「猿」きっかけでゴルフに詳しくなり、ついにはゴルフをやりだしてしまった。庭ゴルフである。この話を始めるとまた長くなってしまうので、今日のところは止めておきたい。

ところで、「猿」といえば、なぜ猿をなぜエテコウと呼ぶのか、問題というものがある。子供の頃から猿に対してエテコウ、エテコウと言ってきており、てっきり地元の方言かと思っていたら、どうも全国区の表現だったようだ。

この疑問について、最近読んだ本に答えが書いてあって、ちょっと感銘を受けたので、ここで紹介しておきたい。


日本古来の言霊信仰というものがある。禁忌の言葉を避けたり、縁起の悪い言葉を言い換えたりするのは、その信仰の延長線上にある。

言い換え表現の代表的なものは、例えばこうだ。

まず、「スルメ」を「アタリメ」と呼ぶ。
なぜかと言えば、スルメの「する」は「擦る」、つまりは「失う」という意味となるので、その反対の「当たる」という言葉を使って「アタリメ」と言い換えるのである。

また、「葦」を「あし」ではなく「よし」と読む。これは「悪し」「良し」と言い換えたためである。

そして掲題の件、猿はなぜエテコウなのか。
猿は「去る」という語感から、「失う」という意味合いを想起させる。なので、「失う」の反対言葉となる「得る」を使って、「エテコウ」と言い換えたのである。

「終わる」ことを「開く」と言い換える例などは有名だ。日本は古来より、口から発せられる言葉を、神聖なものとして考えていたのである。

今回は、閑話休題、いわゆる穴埋め記事でした。

参考文献:『よくわかる山岳信仰』(瓜生 中:著)【角川ソフィア文庫】


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