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ついに始まる! 藤井聡太VS.羽生善治

現役最高棋士に棋界のレジェンドが挑む、夢のカード。

藤井聡太VS羽生善治 !!!!


ついに昨日より開幕しました第72期王将戦。注目の第一局は、掛川城の二の丸茶室にて対局が行われました。奇しくも昨年夏にこの城からほど近い楽器ミュージアムに行ってきたのですが、その時にチラリと立ち寄った場所です。

藤井王将はこれまでタイトル戦11期シリーズ負けなしというとてつもない記録を樹立しており、現役棋士の中では抜群の実力を発揮しています。棋力の充実著しく、年齢からしてもここから10年くらいは最強の名を欲しいままにすることと思われます。

対する羽生九段は、言わずと知れた将棋界のスーパースターで、50歳を越えた今でも最新形を幅広く使いこなすオールマイティープレイヤーです。

前期にプロ入り初の負け越し(しかも4割以下)となり、トップ棋士の証であるA級からも陥落。大不振に喘いでいましたが、今期成績も上向きで、特に王将リーグ戦において、並み居る強豪に6戦全勝して挑戦者に名乗り出ることになりました。


かくして、夢のカードが実現したわけですが、こうなると気になるのは、羽生九段の戦い方です。挑戦者になったのはいいのですが、とにかく相手はAI将棋の申し子で、かつ人類最強の詰将棋の実力を持つ藤井五冠。下手をすれば圧倒されてストレート負けという可能性もあります。


一局目、振り駒の結果、藤井王将の先手番、羽生九段の後手番となりました。藤井王将は、今期先手番では一敗しかしておらず、勝率九割五分を誇ります。普通に対局に臨むだけでは、後手番の羽生九段に勝ち目はありません。

そんな中、注目の戦型は、現在流行している最新形ではなく、なんと羽生九段からの一手損角換わりとなりました。

将棋に詳しくない人にとっては全く聞いたこともない戦型かと思います。実際、現在プロ間でもこの戦型を採用している棋士は少なく、あまりお目にかかれない戦い方です。

一手損角換わりとは、角換わりのバリエーション戦型ではあるのですが、「一手損」と命名されている通りに、一手損をする指し方となっています。

なぜ一手損なのかというと、角換わりは先に角を変えた方が、後から自陣を整備しなくてはならず、相手より一手余計に指さないといけない形です。

ここでのポイントは、後手番で採用する作戦ということです。そもそも将棋は先手優位のゲームとされていて、先手番は先に一手指すことができるアドバンテージがあるのです。

ただでさえ後から指す後手番なのですが、なんとその上で一手損をするような戦い方が、一手損角換わりなのです。

なぜわざわざ手損をいとわない指し方をするのかというのは、かなり専門的な話となるので、ここでは割愛します。(うまく説明もできません)


ともかくも、普段見慣れない戦型を、不利な立場となる後手番の作戦として、羽生さんが採用したことは驚きであり、なるほどと呻らせるものでした。

藤井王将は、研究済みの手順であれば、普段はスラスラと手が進むものなのですが、早々に手が止まり、長考合戦となりました。序盤で藤井さんを優位に立たせないという羽生さんの作戦が、まずは当たったものと思われます。

一日目は完全に互角の形勢のまま封じ手となり、二日目の今日もずっと互角のまま、中盤のねじり合いが続きました。一手ごとに長考する、非常に重たい空気が流れていたように思います。


結果としては、終盤の入り口で藤井王将が妙手・妙手順を繰り出し、羽生さんとの差をつけました。羽生九段もほとんどミスをしていなかったのですが、先手番の優位さを藤井さんが保ち、そのままジワジワと引き離すような展開となったのでした。

今回の対局は、一手ごとに自分も念入りに棋譜を確認・検討しながら観戦しましたが、藤井さんの恐ろしいほどの強さを目の当たりにしました。


さて、今月21日からは第二局が開催されます。今度も週末対局となるので、ゆっくりと鑑賞することができます。

次は羽生さんの先手番。今度は流行最新形の戦型、例えば相掛かりなどになるのではないかと想像しています。


昨年11月に、久しぶりに将棋大会に出場した時に、練習がてら始めたネット対局である「将棋ウォーズ」にハマっておりまして、毎日欠かさず3局指し続けています。

将棋は、勝てば気分よく、負ければ悔しい思いをするゲームです。麻雀と違って、完全に自分の実力で勝負が決まる、容赦ない世界です。このような勝負の世界に身を置くことは、どんなに大変なことだろうか、と思います。

将棋ウォーズ2級で昇級が止まってしまっている自分には想像もできない世界ですが、そんな過酷な世界のトップ同士が火花を散らす対局を、是非とも多くの方にご堪能いただきたいと心から願う次第であります。



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