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「人生クライマー」必見です。

今日も時間が無いので手短に。

先日『人生クライマー 山野井泰史と垂直の世界 完全版』というドキュメンタリー映画を見た。

山野井泰史は、登山界のアカデミー賞と呼ばれている(らしい)ピオレドール生涯功労賞を昨年受賞した、日本を代表するクライマーで、沢木耕太郎の『凍』という凄まじいノンフィクション小説の主人公となる人物である。

彼の偉業や山への狂気を孕んだ向き合いなどについては、是非『凍』や映画を見て、慄いて欲しい。

僕自身それほど知っている人ではなかったのだが、映画を見て、かのような苛烈な「人生」を送り、今なお活動を続けていることに驚きを隠せない。


映画では、山野井さんと気脈を通じている一流の登山家・クライマーの人たちが、次々と登山事故で亡くなったり、どこかの山で行方不明になっていることがあっさりと描かれている。

致死率がトンデモないのである。

けれど、人生を掛けて一つのことをやる遂げること、やり続けることの素晴らしさも同時に感じさせる作品となっていて、その点が不思議な感覚だった。

一つの事を突き詰める狂気。実際に一つの事を突き詰め、命を失いかねない挑戦を続けている人物を目の当たりにして、単純に羨ましい気持ちになったし、今の、職場でウジウジと考えていることが馬鹿らしく思えた。


自分が決めたこと、自分の好きなことに集中していれば、人生はそれで充分に充実できる。周囲の戯言や、ガヤなどを必要以上に気にする必要は全くない。

それはとても勇気が貰えることだった。


しかしその一方で、自分が生涯追い求めることが見つからなかったとしたら・・・。それは、充実した人生とは正反対の状況に追い込まれることを意味する。

物事を突き詰める狂気と美しさに憧れる一方で、物事を突き詰められない人生への焦りが心の奥底から湧き立ってくる。

二つの意味で、心を揺さぶられる快作ではないかと思う。

本作を知って、少しでも興味をお持ちの方は、迷わず映画館に行くことをお勧めします。



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