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仕事のできる人

フリーランスであれ会社員であれ公務員であれ経営者であれ、人生から仕事を切り離すわけにはいきません。まれに仕事をしなくても生きていける人もいますが、そういう特殊な例はひとまず無視します。

人生における仕事の比重は人それぞれだとは思いますが、人生と仕事が切り離せないということであれば、仕事に対していかに取り組むかは、全ての人の共通の課題であるように思います。


僕は一介のサラリーマンですから、それなりに仕事に比重を置いた生活を送っています。ですので、できれば自分は仕事ができる人間でありたいですし、できる人間と一緒に仕事をしたい、という気持ちがあります。

今回は、周囲を見渡した時に「仕事ができる」と評価される人間がどのようなタイプなのか、少し考えてみたいと思います。


仕事ができる人と言えば、結果を残す人という答えがすぐに浮かびます。

何を持って結果を出したかという基準は曖昧ですが、会社のミッションだったり、個人の目標を達成できる人が、一般的に「仕事ができる」と言われます。

口では格好いいことを言っていても、何かを成し遂げない限り、机上の空論を振りかざす評論家扱いで、仕事ができる人という評価は貰えません。


例えば、僕が長年従事してきた営業の世界では、どんな手を使っても売ってきた人間が評価されます。売り方が信義にもとる方法であっても、数字を作った人間が勝ちです。

もちろん、売る行為は単発ではなく、将来に渡って連続していくものなので、一回しか通用しない強引な販売手法では後が続きません。けれど、強引なやり方を継続しても大丈夫なようにスキームを作ってしまえば、問題ありません。

ある種のパワーゲームを仕掛けたり、政治的な揺さぶりをかけたりと、傍目には汚いと思われる手法を使ったとしても、商売が成立してしまえばそれが成果となり、成果を得た人間は「できる」と評価されます


自分の周囲でこんなことがありました。

あるプロジェクトに対して、出資金をなるべく多く募ってくるミッションがあったのですが、A先輩は5000万、B先輩は2億集めてきました。会社としては金額だけを見てB先輩の功績を評価します。けれど、この2億にはカラクリがあり、ほぼ同額のリターンを優先的に戻さなくてはならない条件付きだったのです。いわゆる「紐付き」の案件です。

A先輩からすると、B先輩のやり方は自社に不利に働くケースが考えられので、ある種の禁じ手のように見えます。自分も、同じやり方をすれば、同じ金額を募ることができたはずだが、敢えてやらなかったと主張しました。

しかしA先輩の真っ当な意見はかき消されます。会社の要望は付帯の条件に関わらず、出資金を多く募ることが今回の目的だったので、その意図をくみ取って実績を残したB先輩が、仕事のできる人間だと評価されることになったのです。


このケースのように、やり方を問わず、組織が求める成果を獲得する人間が、組織内では評価されます。僕はそうした光景をサラリーマン人生において何度も見てきました。

「世の中の綺麗ごと」や「自分が思い描く正しさ」とは全く別の評価軸によって、人は仕事ができる/できないが判断されてしまうのです。

こういう現実を前に、僕自身、「仕事ができる」人間になりたいのか、非常に迷うところです。自分が定める評価軸を貫きつつ、仕事ができる人間になることは可能なのでしょうか?


僕は、こうした葛藤を乗り越えるためには、仲間の力を借りるべきだと考えています。

会社の評価基準は会社が求める成果を出したかどうかですが、社員一人の力だけで何かを成し遂げるのは非常に難しいことです。大きな成果を得るには、集団の力、チーム力が絶対的に必要とされます。

組織の上層もそんなことくらいはわかっているので、チームを動かせる人間、チーム内で仕事ができると思われている人間を放っておくことはできません。

僕としては、ここに自分軸を持ち込む余地があるように感じています。


きちっと自分が正しいと思えるやり方、納得できる手段を使って、組織に対しても貢献していきたいと思った時に、チームを束ねる立場となることが、最良の方法であると考えています。

チームを動かすにあたっては、きちんとチーム内でのコンセンサスを取っていく必要があります。どんな手段を取っても結果を残せばそれでいい、という強引な方針では、仲間の協力を得ることはできません。独善が続けば、勝手に一人でやってろ、ということになるでしょう。

正々堂々とした方針を掲げて、それを実行し、仲間内、チーム内において信頼される人間になることが重要だと考えています。それは、成果だけに着目した会社での評価を得る方法とは全くことなるものです。


ここまでの文脈をまとめると以下のようになります。

・組織内で「仕事ができる」と評価される人間は、組織が求める成果を獲得できた者である。
・成果をどのように出すか、その方法は問われない。
・自分が正しいと思う考えを貫いて、会社に「仕事ができる」と評価されるためには、チームの力を借りなくてはならない。
・チームの力を結集するには、成果を出す方法のコンセンサスを取る必要がある。


これをさらにまとめると、

仕事ができる人間となるには、チームをまとめるリーダーシップが必要

という結論が導き出されるのではないかと思います。


正しいことをしても評価されない世界が会社(組織)だと認識しつつ、正しいと思うことを貫くことでリーダーシップを発揮し、それをもって会社に貢献を認めさせる。そんな風に仕事に向き合いたいと考えています。


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