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笑わない人の7割を笑顔にする言葉

取材対象者の顔写真を撮影する機会がよくあります。そのほとんどは、当日初めてお会いする方なので、いざ撮影の時にいきなり笑顔を引き出すというのは、なかなか難しいです。とはいえ、撮影の時間にも限りがあるし別の撮影カットが後にひかえている場合、笑顔を引き出そうと延々粘ることも厳しい。そんな時、おおよそ7割の人を笑顔にできる言葉があります。

まず、笑顔がすぐ出る人かどうかを見極める。

カメラを向けただけで笑顔が溢れ出す人っていますよね?そういう人は何も言わなくても自然と笑顔になってくれます。カメラマンにとってはほんと助かります。笑 「笑顔が素敵!」「何も言うことないですよ!」とテンションの上がる言葉で、もっと笑顔になってくれるんですから。

最初に、カメラの前にいる人がどっちなのかを探ります。「笑顔系」ならそれでよし。問題はもう片方の「ノン笑顔系」の人を前にした時です。(製造現場の職人、エンジニアの男性などはノン笑顔の割合が多いです)

まずは無言で撮ってみる

そういう人はおおよそ

1 いきなりの撮影なので、ただただ緊張している

2 そもそも、写真を撮られることが苦手

のどちらかです。なので、撮り始めてすぐに言葉をかけて笑顔にさせようとしてもダメ。逆に警戒されたり、固くなってしまいます。なんでもそうですが、ものには準備というものがあります。スタジオ撮影だと、撮影前にコーヒー片手にブレイクタイムを設けてリラックスしてもらうことも出来ますが、取材の限られた時間だとそうもいきません。

なので、僕の場合はあえて無言で数枚撮影してしまいます。向こうは当然ノン笑顔です。そりゃそうだ。そうこうしてるうちに、緊張の空気がより高まってきます。

そしてあの言葉の登場です

「もっと笑ってください」「緊張しなくていいですよ」

なんて言葉ではなかなか笑いません。逆効果のこともあります。緊張の度合いの頃合いを見計らって、一言つぶやきます。


「写真撮られるの、お嫌いですよね?よくわかります。


この言葉を呟くと、僕の経験では全然笑ってくれなかった人のおよそ7割が初めてニコッと笑ってくれます。破顔一笑というわけではないですが、とても素敵な笑顔を。

「緊張の緩和」という言葉を聞いたことがあると思います。写真を撮られるのに慣れていない、苦手な人が自分の思っている本心をカメラマンに言われるので、「ああ、わかります?そうなんですよ!」と、緊張が解けておもわず笑顔になってしまうのです。そうなってしまえば、こちらのものです。その笑顔は数枚で消えてしまうかもしれませんが、あとはこの「緊張の緩和」の繰り返しです。また無言で何枚か→ぽそっと和らぐような一言。僕の中でのキラーワードは他に

「写真撮られるのウザいですよね。特に俺みたいなやつには。笑」

「笑顔が欲しいから、夜中までこうやって撮りましょうか?笑」

「あれ?さっき笑ったのは幻だったのでしょうか」

などなど。用意しておいたワード、現場でひらめいたワードを織り交ぜながら満足な撮れ高が得られるまで繰り返します。これでだいたい5枚くらいは笑顔が撮れるはずです。十分な枚数だと思います。

まとめ

これが全てに通用するとは限りません。また、撮影対象者が社長などのエグゼクティブなひとには、より気を使った言葉を選ぶべきです。しかしながら笑顔を引き出すためにはあえて「緊張」の場を醸し出すというのはかなり大切なことです。一般の取材撮影の場合、

撮影前にライターさんがインタビュー(同時に話している場面の撮影)  →その後カメラ目線の撮影

という流れが多いです。そのインタビューというのも、実は「緊張」の場を醸成してくれる時間なのです。なので、カメラ目線のポートレー撮影はできる限りインタビュー後が望ましい。もう一つの理由は、インタビュー中にその人の趣味嗜好を聞けるからです。その人が笑う瞬間は何を話したのか?そういう質問だったのか?etc...

そうやって、インタビューカットの時もその後に呟くワードは何がいいかを探りながら撮影をしております。とまれ、「写真嫌いですよね?」という言葉は結構使えますから、一度お試しください!

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