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【クラオタくん×メリオケ】すべてはここから始まった!チャイコフスキー交響曲第1番《冬の日の幻想》の真実

メリオケプログラムノートの試し読み第3弾、最終回です!
今回はプログラムのメイン曲である

チャイコフスキー作曲 交響曲第1番《冬の日の幻想》

の試し読みです。


P. チャイコフスキー
交響曲第1番 ト短調《冬の日の幻想》 op.13

Pyotr Tchaikovsky
Symphonie Nr.1 g moll 《Winterträume》 op.1

 チャイコフスキーは、交響曲・オペラ・バレエ音楽のすべてにおいて数々の魅力的な作品を世に残し、ロシア音楽史を確立した。後年、ストラヴィンスキーに「ロシア最大の才能」と言わしめたほどである。
 本作は1865年に彼がペテルブルク音楽院を卒業した後の最初の大作である。卒業の翌年1866年から作曲が開始された。この時期は、彼が師匠アントン・ルビンシテインの弟のニコライ・ルビンシテインが創設したモスクワ音楽院で教鞭を取り始めた頃である。本人はそのつもりがなかったが、授業を取っている女学生は気難しい先生と感じていたようだ。本作の作曲はなかなか難産であった。作曲の段階からA・ルビンシテインにあまり評価がされず、しぶしぶ2・3楽章のみが認められて初演に至った。N・ルビンシテインの助言を受け改訂した後、ようやく1868年にモスクワで全曲版が初演された。後年、彼は未熟であったことを認めた上で「もっと成熟した他の多くの作品より内容が豊か」だと言い、後年も長く愛情を持ち続けた。
 チャイコフスキーの交響曲は、ベートーヴェンとシューマンのモデルから出発している。そこからロシアの古典であるグリンカの先例にならい、民謡や民族的な素材を交響曲に組み込んだ独自の世界を創り上げロシア交響史を確立した。前期の交響曲は過去作品から楽想の再利用が目立つ一方で、後期交響曲でも用いられる手法が試されている。彼は作曲当時、「ロシアの交響曲」を世に送り出すことを考え始めていた。西欧的な形式感をもつ交響曲の中にどうやってロシアの民謡を取り入れ、「ロシアの交響曲」を実現するか考えていた。
 本作は曲全体に《冬の日の幻想》、第1楽章に《冬の旅の幻想》、第2楽章に《陰鬱な土地、霧深き地》という標題が作曲者によって付けられている。これは冬を具体的に音楽化したいと考えたものではなく、曲中のロシア的な性格の主題から連想されるイメージを補助する程度のものとして付けたのだと思われる。

第1楽章《冬の旅の幻想》
第2楽章《陰鬱な土地、霧深き地》
第3楽章
第4楽章

今回の試し読みはここまで!
チャイコフスキーの交響曲がシューマンやベートーヴェンのモデルから出発していることはご存知だったでしょうか。もちろん、この交響曲第1番にもシューマンやベートーヴェンをモデルとして書いたであろう箇所がたくさんあります。是非、どこにその要素が潜んでいるのか考えながら聴いてみてください。新たな発見があるかもしれません。

この後は、
☑交響曲第1番の中のロシア的性格の旋律・主題
☑チャイコフスキーの後の交響曲へとつながる要素
☑チャイコフスキーが目指した交響曲の形

などについて、譜例付き(!!)で解説しています。
チャイコフスキーの交響曲だけではなく、後のバレエやオペラへとつながる要素が満載の交響曲第1番です。
是非、演奏会に来てこの解説の全編を読んでください!!

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