旭川家具 海外へ販路拡大

August Tuesday 2. 2022
新聞メモ 552th day

Reference:カンディハウス、欧米など24カ国・地域に旭川家具 地域発世界へ 北海道 日経

北海道旭川市周辺の地場産業である旭川家具。その最大手にあたるカンディハウスは、昨年12月期、売上に占める海外比率が初めて1割を超えた。得意とする北欧風デザインの家具が人気を呼び、1970年以降、海外展開を開始。欧米やアジアで販路を拡大している。

旭川家具は明治時代に旧陸軍の師団が旭川に移転した際に、木工職人が一緒に移り住んできて始まった。カンディハウスの前身となる会社は1968年に設立された。当時は、箱ものが主流だったが、欧米流のデザイン性を取り入れた脚ものに力を入れた。その流れが、旭川家具全体を巻き込んだ結果、北欧風デザインが旭川家具の強みとなった。

海外市場にも、いち早く目をつけ、1976年に米サンフランシスコの家具市に出展した。1984年には米国法人、2004年にドイツ法人を設立。2007年からはアジアでも販売に乗り出した。さらに、カンディハウスが中心となって、1990年に旭川で国際デザインコンペを始めた。このコンペは以降、原則3年おきに開催されている。

デザインへのこだわりは、販売価格に反映されるため、決して商品の値段は安くない。日本では椅子1脚が5万円台半ばからだ。しかし、各国の販売店と契約するときは、旭川に足を運んでもらって、その世界観ごと理解して協業してもらっているという。

24ヵ国・地域に販路が拡大した今でも、新規開拓の手は緩めない。6月にはメタバース上にコンドミニアムを設計して、自社の家具を配置したコンテンツを開設した。流行に敏感な層を新たなターゲットとして狙っていく。

感想。旭川家具の名前はかなり頻繁にニュースに上がってくる。林学を勉強していた際も、シラカンバ材の利用などで授業に度々登場していた。1個1個の値段が相当なことを考えると、狭い範囲の少ない富裕層をターゲットにするよりも、広く世界の富裕層をターゲットにすることは必要だ。その点が、海外進出の動機になったのだろうか。

家具の価値が高いことは、材の生産元となる山側への利益の還元にもつながりやすい。むやみに安価に大量生産をするのではなく、高めた付加価値を認めてくれる人々にターゲットを絞った戦略も、時には必要だろう。


#日経COMEMO #NIKKEI

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