放置林の諸問題

February Monday 21. 2022
Verbalization Practice 397th day

Reference:荒ぶる放置林 座礁近づく「緑の資産」 日経

今日から日経で日本の森林の諸問題を特集するようなので、読んでいきたいと思う。1回目の今日は全国に広がる放置林の問題。

拡大造林期に急速に広がった人工林は、間伐を想定した植栽本数で植えられた。しかし、外材との競争に負け木材価格が下落した結果、林業が金にならなくなり、放置される森林が増えてしまった。その結果、木々は密なまま細長く育ち、林床には光が届かない暗い森林が広がってしまった。

こうした森林は一般的に、風害に弱く木が倒れやすいほか、表層土壌が流出しやすいとされている。近年の台風で千葉が大規模停電も、こうした放置林の影響が大きいという。

また、放置林は国際的に炭素吸収源と認められる森林の基準を満たさないことがある。実際、国内の人工林1000haのうち約2割は吸収源にならないという意見もある。

さらに、伐採したとしても林業従事者が不足しているために、再造林されない造林未済地がこの3年で3割増えたという。脱炭素社会の実現のため森林資源に注目が集まる中、日本は国土の2/3に及ぶ森林を活用しきれるのか。対応が急がれる。

ここから感想。今日は話が散らかってしまった。

有識者のコメントを見る中で鋭いなぁと思ったのは、「川下の方々にとって森林の質の差は理解しにくい」という意見。都会に住んでいる人々にとっては、緑があることが価値となり、その中にある質の差が十分に認識されていない。環境教育にもそういった視点が必要になるのではないだろうか。

また、造林未済地が3年で約3割増加していることについては、伐期に達した人工林の利用促進を狙った補助金の効果だろうか。もしくは、バイオマスのためのチップ需要やウッドショック対応による応急的な素材生産だろうか。いずれにせよ、植林しなければ木材といえど循環型社会の形成には貢献しない。皆伐後の監視体制が整っていないことも、危機感を持って対応する必要があるだろう。だが、造林に関しては技術を持つ事業者が不足しているという話も聞く。講習会などと共に技術をもつ事業体の優遇措置などを講じる必要があるのではないだろうか。

また、日本は国家規模の大規模な植林が始まってから、未だ1世紀も経っていない。伐期で考えたらやっと1周するかどうかというところだ。そのため、今直面している多くの問題が恐らく初めての事態なのだと考える。管理方法とその結果の森林、その機能やサービスに関する長期的なデータも、やっと集まり始めた頃なんだと思う。今の試行錯誤が今後1000年の指針作りに重要になることは間違いないと思うので、悲観的になりすぎずに取り組む姿勢を続けたい。

そもそも目指すべき森林の姿が日々移り変わる。戦後は確かにスギ・ヒノキ人工林の拡大が一つの正解だった。しかし今は、木材生産以外の機能に注目が集まり、スギ・ヒノキ人工林だけでは対応しきれなくなっている。森づくりというものが、数100年スケールで行われる以上、こうした不透明性を考慮しなければならない。そのためにも、ポートフォリオ効果を活かし多様な樹種を保全しておく必要がある。


#日経COMEMO #NIKKEI

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