アフリカの食料危機

July Monday 4. 2022
Verbalization Practice 525th day

Reference:食料危機、アフリカはなぜ深刻に 自立阻む「負の遺産」 日経

アフリカは農業従事者が人口の6割を占めている。それにもかかわらず、ウクライナ侵攻によってアフリカは深刻な食料危機に直面しようとしている。農家が多いはずの国々で、なぜこうした状況に陥るのか。記事ではそのギャップについて解説されていた。

理由の一つは、生産性の低さだ。先端技術は導入されておらず、生産規模も大きくない零細農家が多い。そのため、農家が多くても一人当たりの生産量は先進国に比べて著しく低下する。

しかし、問題の理由はそれだけではない。記事では、植民地時代に形成された、モノカルチャーな経済構造が本質的な原因だとする。例えば、ケニアはお茶の輸出額が世界で首位となっている。生産量は年間約57万トンと、日本の緑茶生産の8倍にも匹敵する。

こうした状況は、穀物生産の比重を低める。アフリカの穀物生産量は、年間で人口当たり149キロだ。これは北米の1/6。アジアの1/2だ。農家が多くても食料として重要性の低い作物ばかりが生産されると、食料危機になりやすくなってしまう。

また、モノカルチャー構造の中で生産された作物にも問題がある。アフリカの国々は、原料を輸出する傾向にあり、付加価値を付ける段階は輸出先で行われることが多い。そのため、生産国での利益は薄くなってしまう。

さらに、このような構造は農業に限らない。アフリカ最大の産油国であるナイジュリアでは、3月以降ガソリンの供給不足が発生している。ナイジュリアは原油は産出されるものの、石油精製能力が皆無に等しい。そのため、結局のところガソリンは他国から輸入するしかない。

植民地時代から続くこうした経済の構造は、アフリカの国々の自立を妨げる。先端技術の導入による生産性の向上と共に、アフリカの国々が自立していけるような国際支援が必要だ。

感想。先進国は、自身の作っている付加価値の高い商品を、安定的に供給できるようにするためには、モノカルチャーに依存している国々での安定的な生産活動が欠かせないことを忘れてはならない。そして、その安定的な生産活動のためには、付加価値の高い商品で得た利益を、しっかりと生産国へ還元することが大事になる。


#日経COMEMO #NIKKEI

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