炭素クレジット 見えずらい実態

May Saturday 11. 2022
Verbalization Practice 503th day

Reference:脱炭素クレジット、漂う「幽霊」 事業停止の実態見えず 日経

植林や乱開発の恐れがある森林を保全した場合に発行されるクレジットを購入することで、企業が排出する温室効果ガス量を相殺できる炭素クレジット。今回の記事では、購入した企業が植林や保全の実態を把握しにくいという欠点が紹介されていた。

記事では日経が独自に調べた中米べリース南部における森林保全の例が挙げられている。この場所では2005年から25年間で140万トン分の炭素クレジットを発行する予定だった。その認証を行った米認証機関のベラによると、現地企業のBCEPがプロジェクトの担い手になっている。しかし、2017年の調査では事業の主体は米国の企業に移り変わっており、しかもその間に米の石炭企業の管轄になっていたことも分かった。

事業者が度々入れ替わると、プロジェクトの継続性も危うくなる。発行したクレジットは結局のところ2015年までの19万トンにとどまり、企業は保全活動を取りやめたと見られている。2021年末には英国の環境団体が農地になる危険性があるとして、当該の土地を購入していた。

この場所で発行されたクレジットの購入企業には、石油資源開発や三菱商事の子会社が含まれている。これらの企業は、信頼できる認証機関が認証したことをクレジットの購入理由にしているが、事業の現状は把握できていない。現状のルールでは、これらの購入企業に問題はない。

課題となるのは、買い手に事業の現状を把握する手段が限られていること。そして、民間クレジットが事業の継続性を認証基準に入れていないことだ。クレジットを発行するべき事業の継続性に関しても、第三者による認証と情報開示が必要だ。

感想。炭素クレジットは脱炭素化における移行期間の措置的な位置づけだと私自身は思っている。実際に進めるべきは、各企業の生産活動にかかる排出量を抑制することだ。しかし、急にそのような要請を出しても、技術的にも不可能だし、経済的にも混乱が避けられない。そのために炭素クレジットがあるというふうに考えている。



#日経COMEMO #NIKKEI

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?