伸び悩む最低賃金と外国人労働者

July Tuesday 26. 2022
新聞メモ 545th day

Reference:最低賃金、欧米に見劣り 3%上昇続くが目標1000円未達 日経

物価高を考慮して、2022年の最低賃金の伸び率は、昨年の3.1%を上回ると見られている。現在のまま3%の引き上げが続けばm2024年には、最低賃金が1000円に達する。政府は1000円早期実現を目標としており、じわじわと近づいてはいるものの、欧米に比べると低い水準のままだ。

ドイツは今年7月従来比6.4%の賃上げを行った(約1450円)。さらに10月には、14.8%まで大幅に引き上げる。フランスも今年5月から7月までに2.6%引き上げられた。ロサンゼルス市では、7月から従来比6.9%増となっている(約2180円)。

また日本では、雇用形態による賃金格差が大きい。フルタイム労働者の賃金に対する最低賃金の水準が45%と、フランス60%超、英国58%を大きく下回る。こうした格差が最低賃金の水準を押し下げる一因にもなっている。

日本の賃金水準の相対的な低下による問題は、物価高に対応しない不満だけではない。人手不足が深刻化するなかで、働き手の確保の重要性が増している。働き先としての魅力が低下すれば、誰も働きに来てくれなくなってしまう。最低賃金ベースで日本で働くと自国の何倍の賃金が得られるかを示した出稼ぎ魅力度指数によると、ベトナムからは2010年の36.7倍から、2021年には20.5倍まで低下した。中国は2010年に8.4倍だったのが、今では3.6倍だ。

少子高齢化も加速するため、外国人労働者の採用拡大は急務である。しかし、上記のような現状を踏まえると、黙っていても労働者が来てくれる環境とはいい難い。

感想。別の問題だと思っていた最低賃金と少子高齢化、外国人労働者の問題が結びついて興味深かった。最低賃金の低水準が発端となって、労働力が確保できなくなれば、現在当たり前に利用しているサービスやインフラが使えなくなる可能性も大きい。そうした影響は、必ずしも貧困層だけに及ぶものではない。道路が使えなくなったり、水道管が老朽化で破裂してしまえば、誰しもが同様に被害を被る。

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最低賃金の決まり方
まず、労使代表と公益代表としての学者で構成される「中央最低賃金審議会」が、全国の目安額を決定する。その後、都道府県の審議会が、目安額を基準として、地域ごとの最低賃金を決める。


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