映画『HELLO WORLD』が人生一好きなアニメーション映画になった話

夏に予告を観て以来ずっと公開を楽しみにしていた映画、HELLO WORLDを観に行きました。
総括。めっっっちゃくちゃよかった…!
なんだか気持ちが滾ったままなので、この想いを書き留めておきたいのと、少しでも多くの人と共有したいのとで、そのためだけに勢いでnoteを登録してしまった。何卒よろしくお願い致します。
極力ネタバレは避けますが、気になる方は最後の項まで読み飛ばしてください。

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【前提】
・アラサー女。映画は今年に入って月に1本、それまではシーズンに1回観る程度。
・観るのは主に邦画、アニメーション。どちらかというとメジャー作を観ることが多い。
・好きな監督がいるほどは映画ファンではない。
・「麒麟の翼」以降、松坂桃李さんが大好き。


【雑感】
今、私が求めていたアニメーション映画だった。
このところ、映画で言えば新海誠監督の「君の名は」や「天気の子」だったり、SNSでもリアル絵画のドローイング動画だったり、二次元がいかにリアルへ近づけるかが持て囃されている印象がある。
それ自体の価値は認めるけど、二次元にはそれでしか表現できない世界もあるはずで、三次元に近づくことのみにスポットを当てていたら、二次元の本来の可能性は広がらないのではないか、そんな想いを持っていました。
本作品は現実世界から電脳世界へ、現実なのか非現実なのか、自分が立つ世界は本物なのか、その世界の曖昧さが魅力のひとつだと感じたのですが、これはきっとアニメーションじゃないと表現できない。三次元では決してこの域の表現はできない。こんな二次元表現を観てみたかった、そう思わせてもらいました。

音楽が良い。
もともとこの映画のためだけに「2027Sound」プロジェクトが組まれたことは知っていて、特にOfficial髭男dismは最近よく名前を聞くなー程度には知っていたし、トレーラーで曲がいいなーくらいには思っていたのですが、さらっと流れる劇伴がめちゃくちゃ良い。欲しいところに欲しい音が来る。テクノポップ的な曲から懐かしみのあるピアノ曲まで、映像とそこから生まれる感情にしっくりくる。ていうか音が聞こえてくる場所、遠近感も完璧。とかくアニメーション映画は劇場で観る必要があるのか?と言われることが(私の周りだけかもしれないけど)多いけれど、この世界観を完全に味わうには、映画館の音響設備が不可欠だと思う。

■キャストの演技が良い。
繰り返しになりますが私、松坂桃李さんの演技がすんっごく好きです。それも、主役を演じているときだけじゃなく、脇役でふと目を引く表情がたまらなく好き。
映像とCVが合うことって必要条件のようで、特に俳優吹き替え作品では完全に達成できている作品はそんなにないように思っていた。けど今回、松坂さん演じるカタガキが北村匠海さん演じる主人公の直実と関わる中で、浜辺さん演じる一行さんと恋人になろうと2人で奮闘するシーン、真の目的に進んでいくシーンと、どんどん表情が変わっていく様にぐいぐい引き込まれた。そして直実の成長も、一行さんが心を開いていく様も、ちょっとした変化に目が離せなくなる。どのキャストもすごくよかった。
ちなみに松坂さんと北村さんの2人で受けてるインタビューはどれも抜群の癒し系なのでおすすめです。(何の紹介だ)

ストーリーが良い。
振り返ると私はファンタジー的な話が好みで、それも現実世界の延長線にあるようなファンタジーがすごく好きです。(余談ですが、特に梨木香歩の「裏庭」はすごく衝撃を受けて、大切過ぎて読み返すことがなかなかできないほどに大切な1冊です。そしてこの辺りから読書の楽しみ方が変わってきたように思う。)
その流れでSFを読むこともあるのですが、私の中のSFって、たとえばジェイムズ・ティプトリーの「たったひとつの冴えたやりかた」だったり、あと伊藤計劃の「ハーモニー」だったりの、当人たちにとってのハッピーエンドだけど純粋なハッピーエンドじゃない、けれどバッドエンドとも言えない、複雑な読後感を抱く作品のイメージが強いです。まぁそんな話も好物なんですが。
正直、観るまではこの作品もそんな感じのSFストーリーなんだろうと思っていました。けど予告通り、ラスト1秒で物語がひっくり返った。ちょっとこれは思ってもいなかった。シンプルな終わり方ではないけれど、こんなエンドもあるんだなって思った。
SF?あんまり好きじゃない!ていう人にも、SFは見慣れてるぜ!ていう人にも、是非この感覚を味わってほしい。

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長々書いたけど、とにかくあっという間の約100分で、映画館で途中からずっとボロボロ泣いていたし、帰り路でも思い出して気持ちがうわーってなったし、勢いで買ったサウンドトラックを聞いてまた泣きながらこの感想を書いています。
うちの映画館だけかもしれないけど、なぜかひっそりと公開されてひっそりと終わろうとしていて、マジでそんなの勿体ないと思う。お願いだから是非ぜひ一人でも多くの人に観てほしい。その上で私と映画と松坂桃李さんについて語ってほしい。(結局そこ)
個人的に、今まで観たアニメーション映画の中で、一番好きな作品です。
惜しむらくはシアターの画質が若干アレだったことと、
中途半端な時間だったためにシアターはカップルと私というやや気まずい状況だったことですかね。
だからまた他のシアターでも観に行こうと思います!

はー、ほんといい映画を観た!

好きが過ぎる系の(いろいろと)ぎりぎりアラサー。観たり聞いたりしたものの感想まとめ。