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リスキリングの壁を低くするため、全てのマイナポータルに雇用保険被保険者番号を

こんちは!副業社労士まさゆきです。
会社求人と求職者の技能のミスマッチ解消のため、リスキリングの必要性が高まっています。内閣府調査では、技能や処遇が合わず失業中の人が153万人と推計しています(10月31日日経朝刊)。
岸田首相は、リスキリング支援強化のため、人投資政策規模を「5年で1兆円」に拡充する方針です。「オンライン・土日・夜間講座の増加」「デジタル関係講座の充実」が主な内容です。私は、リスキリングの壁を低くする心への施策がまず必要だと思います。

政府同様、会社も従業員にリスキリングを求めますが、従業員が受講する気になるか疑問です。会社で教育訓練講座を申込むには上司の承認を得る必要があります。業務に関係ない受講を上司は嫌がります。営業がAI講座を受講する?「営業辞めたいのか?」と事情聴取が始まります。途中で受講を中止したら“意欲に欠ける”と人事評価されます。
上司承認の壁は想像以上に高い。私も社労士受験で予備校に通いましたが、会社に隠れて自費でした。

会社にバレないようにとなると雇用保険の「教育訓練給付」ですが、簡単ではありません。

《雇用保険の教育訓練給付》
日本のリスキリング対策は雇用保険教育訓練給付、メニューは以下の3つ。
①    一般教育訓練給付金
雇用保険に1年加入していれば初回利用できます。国が指定する講座を終了し修了証明書をもらい申請すれば受講料の20%(最大10万円)が支給されます。1度利用すると加入期間はリセットされ、次の利用は3年後です。
②    特定一般教育訓練給付金
社労士のように独占業務(その資格しかできない業務)資格等、就職に直結した資格が多いイメージです。受講料の40%(上限20万円)が受講終了したら支給されます。雇用保険加入要件は①と同じです。

この2つは、「会社勤めしながらのリスキリング」念頭のメニューです。

③    専門実践教育訓練給付金
看護師や理容師のように、長期間、専門学校に行ってキャリア直結資格を取るため使われます。雇用保険2年間加入が条件です。受講料の50%(上限年40万円、通算120万円)、その資格を取れば70%(上限168万円)まで支給されます。詳細条件は下リンクを見てください。

001066317.pdf (mhlw.go.jp)

「受講途中に給付金が出る」「条件に適合すれば“教育訓練支援給付金(失業手当)”が支給される」点から失業者を念頭に置いた給付です。

《雇用保険被保険者番号がなければ教育訓練給付を利用できない》
上記①②を会社にバレずに利用出来ればいいのですが、教育訓練給付申請には雇用保険被保険者番号が必要、という壁が存在します

「マイナポータルで雇用保険被保険者番号が判ります」と言いますが、よく読むと「過去に失業した場合マイナポータルに記載される」とのこと。つまり、失業経験のない人は判りません。私もマイナポータルで自分の履歴を確認しましたが未記載でした(転職経験者ですが、事業譲渡による会社移籍なので失業期間無し)。
この場合「会社に聞く」か「ハローワークで問合わせる」事になります。ハローワークに行って雇用保険被保険者番号を調べる人は普通いません。会社に問合わせれば上司の事情聴取?が待ってます。スキリングの壁は雇用保険にも存在します。

要は「雇用保険被保険者番号を雇用保険加入者全員のマイナポータルに掲載すればいい」だけなのです。リスキリングの壁は“大幅に低くなる”と思います。

《おまけ:「若者重視」「一般財源使用」の欧州のリスキリング給付》
ドイツには若年者向けに「デュアルシステム」という職業養成訓練があります。学生が在学しながら週に数日会社に勤務する制度です(副業ですね)。期間は2年間。手当もあり学生7割が利用します(157万人:2006年実績)。
イギリス・フランスにも同様の制度があり、イギリスでは26万人(2003年)、フランスでは37万人(2004年)が利用しています。学生がスムーズに就職する支援のため一般財源が使われます。

https://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/06/dl/s0627-7l.pdf

リスキリングに保険制度を使うのは日本と韓国ぐらいのようです。この点も課題でしょうか。

ではまた次回

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