見出し画像

人工知能(AI)を駆使した社労士試験用学習ツールを考察

最近、人工知能(AI)を活用した学習ツールを開発し、受講生に提供しているスクールがあります。

それは「スタディング」です。

AIを活用した学習ツールは「秀逸」だと言われていますが、本当にそうでしょうか?受講生がうまく使いこなせば、難関といわれる社労士試験さえも合格レベルに到達できるというのは、どのような根拠があるのでしょうか?

そんな声も聞こえてきそうなので、今回の記事ではAIを活用したスタディングの学習ツールを紹介しつつ、それが「秀逸」であるか否かを考察してみます。

ちなみに私は平成23年社会保険労務士試験に合格しており、学習ツールの「秀逸」さを考察する上での知識的な裏づけがあります。

それゆえ、社労士試験についてくわしく存じていない方には、少し理解し難い用語を使うこともありますが、できるだけ平易な表現でお伝えしますので、最後までお読みくださると幸いです。

【補足】
私が社労士試験に合格していることと、スタディングの受講生であることは、下の画像により確認できます。

スタディングマイページ

参考までに、人工知能(ChatGPT)が、難易度の高い本試験問題を解けることは、以前の記事でお伝えしています。ご興味がありましたら下のリンク記事にアクセスしてお読みください。

さて、GPTに代表される人工知能(AI)を活用して、試験対策ができるのは、大量のテキストコーパスを学習できるからです。

♦テキストコーパスとは
テキストコーパスとは、機械学習や自然言語処理のために集められた大量のテキストデータの集合体のことです。例えば、電子書籍、新聞記事、ウェブページ、ブログ記事などが挙げられます。

ChatGPTの回答を引用

今回の記事を投稿した時点で、人工知能を駆使をした試験対策を試みているは「スタディング」のみです(スタディング社労士講座の詳細は、下のリンク記事をご覧ください)。

また、下の2つの記事では、スタディング社労士講座と他のスクールの講座を比較しています。

それでは、スタディングが提供する学習ツールについて紹介していきます。

人工知能を駆使した最新の機能「AI学習プラン」

AI学習プランの概要


スタディングでは、AI(機械学習)を用いて、受講生別に最適化された学習計画を作成する機能を提供しています。この機能が「AI学習プラン」です。

「AI学習プラン」の仕組みは次のようになっています。

  1. 受講生は、学習可能な時間、実力診断テストの得点、受験経験・学習経験の有無などのデータを提供します。

  2. AIは、受講生のデータと他の受講生の学習履歴データを分析し、「どのような学習をおこなえば試験の予想得点(AI試験スコア)が向上するのか」を予測します(この予測を「試験得点予測モデル」といいます)。

  3. AIは、「試験得点予測モデル」に基づいて、試験の予測得点が「最も高くなる学習プラン(AI学習プラン)」を作成します。

以上が「AI学習プラン」の概要です。

AI学習プランが作成される過程(図)は、下のツイート(PRTIME)からご覧になることができます。

上記の過程により作成された「AI学習プラン」には、次の項目が表示されます。

  1. 学習スケジュール:いつ、何を、どれぐらい勉強したら良いかという指示

  2. 目標得点:各問題における目指すべき得点

  3. AI試験スコア:最終的な試験の予測得点及び予想合格率

AI試験スコアが、表示されている合格点に足りない場合は、学習可能時間が不足している可能性があります。学習可能時間を増やしてAI学習プランを再作成してみましょう。

AI学習プランに沿って学習を進めると、実際の学習履歴と比較した進捗状況が自動的に表示されます。表示された進捗状況を確認することで、学習時間の不足やスケジュールの遅延が分かります。そこで、学習行動を修正して、再びAI学習プランに沿うように試みましょう。これを「学習PDCA」と呼びます。

【AI学習プランの「学習PDCA」】
Plan: 個人に合った学習プランを作成します。
Do: 今日学習する内容・時間・目標を提示し、確実に学習することを促します。
Check:学習プランと実績の進捗を分かりやすく表示します。
Action: プランと実績のずれがある場合は、学習行動を修正することで、合格するために望ましい行動を促進します。

スタディング社労士講座ホームページ

下のツイートには、実際に作成された「AI学習プラン」の画像がアップされています。

AI学習プランの詳細


ここから「AI学習プラン」の詳細について説明します。

AI学習プランは、試験の予想得点(AI試験スコア)を向上させるために、どのような学習をおこなえば良いかを予測し、学習プランを作成するものです。これは、「得点予測モデル」という技術を使っています。

学習プランを生成する際には、AIが各問題の得点予測モデルを作ります。そして、それを基にして、どのレッスン(単元)にどれぐらい時間を割くべきかを決めます。

下の図は、AI学習プランの例です。レッスンごとに学習予定時間とAI試験スコアが表示されています。

出典:スタディングホームページ

ちなみに学習時間を配分する際には、次のような予測に基づいておこなわれます。

例えば、学習可能時間が計100時間(6000分)の人について、10分単位で学習可能時間を分割すると、600個の単位時間が出来ます。(6000分÷10分)この600個の単位時間を、「どのレッスンにどれだけ割り当てると、最も試験の予測得点が高くなるかを求める」ことを考えます。
そのためには、最初の単位時間(10分)について、仮に「全てのレッスンに」順番に割り当ててみて、その時のレッスンの予測得点の伸びから、試験の予想得点(AI試験スコア)の伸びを求めます。
全てのレッスンの中で、単位時間(10分)を追加した時に、試験の予想得点(AI試験スコア)が最も高くなるレッスンが、最も学習効果の高いレッスンです。そのため、このレッスンに実際に最初の単位時間(10分)を割り当てます。

そして、次の単位時間(10分)を取り上げます。上記同様に、単位時間(10分)を「全てのレッスンに」順番に割り当ててみて、試験の予想得点(AI試験スコア)の伸びを求め、最も試験の予想得点(AI試験スコア)が高いレッスンに、この単位時間(10分)を割り当てます。

このように、単位時間(10分)ずつ、試験の予想得点(AI試験スコア)が最も高くなるように割り当てていき、最終的に計100時間(6000分)すべて割り当てが終われば、最適な時間配分が完成します。

スタディングホームページより引用

AI学習プランを作るとき、AIはさまざまな要因を考慮して予測します。

その中の一つが「忘れることによる得点の低下」いわゆる忘却曲線です。

受講生は、レッスンの後にスマート問題集などの問題を解きます。しかし、時間がたつと記憶(答え)は忘れてしまいます。

そこで、AIは忘却曲線を予測して、AI試験スコアを計算するのです。

【忘却曲線とは】
忘却曲線とは、ドイツの心理学者ヘルマン・エビングハウスが導き出した理論です。エビングハウスによれば、人間は以下のスピードで記憶したことを忘れていくといいます。
この理論によれば、学習せずに1日が経過しただけで、記憶の74%は忘れてしまうのです。

このようにして生成されたAI学習プランを「Do」していくことで、受講生は「AI試験スコア」を向上させていきます。

AI学習プランの考察


AI学習プランを生成するにあたり、人工知能の分析だけではなく、受講生から提供されるデータが重要となってくることはご理解頂けたと思います。

そのため、AI試験スコアを向上させるためには、多くの学習可能時間を確保しなければなりません。

しかし、多くの受講生は働きながら学習を進めていきますので、学習時間の確保は厳しいはずです。

実際、AI学習プランにより学習を進めるのが厳しいとツイートされている方がいます。

こちらの方も「もっと学習時間を取らないと合格レベルまで行けない事が判明」とツイートされています。

AI学習プランは、提供された情報と多くのデータを分析して生成されますから、他のスクールが提供するカリキュラムよりも個人の実力に沿った学習プランを提供してくれるでしょう。

ただし、生成された学習プランにより合格レベルに到達するためには、多くの学習可能時間を確保する必要があります。

機能としては極めて「秀逸」なAI学習プランですが、まずはご自身の学習可能時間を入力して「AI試験スコア」が合格点に到達できるかを確認してみましょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?