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人工知能は社労士試験の問題が解けるのか!?

近年、難問化が著しい社会保険労務士試験ですが、試験で出題される問題を、今話題の人工知能「ChatGPT」が解けるか試してみようと思います。

「難問化が著しい」といいましたが、どのぐらい難問化が著しいのかは下のリンク記事をご覧ください。

ChatGPTとは?


記事を書く前に、人工知能「ChatGPT」をご存じない方に向けて、簡単に説明します。

♦ChatGPTとは
ChatGPTは、OpenAIが開発した言語モデルで、大量のテキストコーパスで学習させ、テキスト入力に対して人間のような応答を生成することができます。

上記の説明ですが、実はChatGPTに答えさせたものです。

さらに、私自身「テキストコーパス」について詳しく知らなかったので、それについてもChatGPTに尋ねてみました。

♦テキストコーパスとは
テキストコーパスは、自然言語処理や言語モデリングなどの機械学習タスクに用いられる、大規模で構造化されたテキストのコレクションである。コーパスは、言語を理解し生成するためのモデルを学習するために使用することができる。

お読みの方はわかりますか?

人工知能に詳しくない方ですと、なかなか理解し難いと思いますが、要するに、新聞や雑誌、辞書などの言語から集めた大規模なテキストデータのことを「テキストコーパス」というのです。

本記事では、大規模なテキストデータを収集し、人間のような応答ができるChatGPTが果たして社労士試験で出題された問題を答えられるかを試していきます。

【補足】
ChatGPTは英語で尋ねた方が正確な答えを導き出せるようです。そこで今回は、出題と解答を英語によりおこなっています。

第1問 雇用保険法(令和2年社労士試験で出題)


不正な行為により基本手当の支給を受けようとしたことを理由として基本手当の支給停止処分を受けた場合であっても、その後再就職し新たに受給資格を取得したときには、当該新たに取得した受給資格に基づく基本手当を受けることができる。

雇用保険法第5問 B肢

受験生や合格者であれば、さほど迷うことなく解答できる問題ですが、ChatGPTの答えはどうでしょうか。

♦ChatGPTの解答
再雇用や新たな資格の取得により、基本手当が復活することもあります。

新たに取得した受給資格に基づく基本手当は受けることができますが、ChatGPTは「復活することもあります」と答えています。

これだと正解とはいい難いですが、不正解ともいえないので「△」としておきましょう。

第2問 厚生年金保険法(令和元年試験で出題)


被保険者が故意に障害を生ぜしめたときは、当該障害を支給事由とする障害厚生年金又は障害手当金は支給されない。また、被保険者が重大な過失により障害を生ぜしめたときは、保険給付の全部又は一部を行わないことができる。

厚生年金保険法第6問 E肢

この問題も割と簡単ではありますが、ChatGPTは答えられるでしょうか。

♦ChatGPTの解答
厚生年金保険では、被保険者が故意に障害を負わせた場合、障害厚生年金や障害者手当は支給されないことがあります。また、重大な過失により障害を負わせた場合にも、保険給付の全部または一部を受けられなくなることがあります。

重大な過失については正解ですが、故意については「支給されないことがあります。」と曖昧な答えなので「△」としておきます。

ChatGPTはケース(事例)に関する質問には断定しないのかもしれません。

第3問 国民年金法(令和2年試験で出題)


被保険者から、預金又は貯金の払出しとその払い出した金銭による保険料の納付をその預金口座又は貯金口座のある金融機関に委託して行うことを希望する旨の申出があった場合におけるその申出の受理及びその申出の承認の権限に係る事務は、日本年金機構に委任されており、厚生労働大臣が自ら行うことはできない。

国民年金法第8問 A肢

♦ChatGPTの解答
国民年金では、厚生労働大臣ではなく、日本年金機構が預貯金口座からの保険料納付請求を受け付け、承認することになっています。厚生労働大臣には、これらの業務を行う権限はありません。

かなりの難問でしたが「厚生労働大臣には、これらの業務を行う権限はありません。」と答えているので正解でしょう。

このような権限がどこに存在しているのか、という「マストな質問」に関しては、テキストコーパスより収集しているので、曖昧な答えではありませんね。

結論


ChatGTPは、自身が答えているように、大量のテキストコーパスを学習して答えを導き出しています。

そのため、規定などドンピシャの答えには強いですが、事例のようないくつかの要因が重なる問いには、答えが曖昧になります。

結論としては、ChatGPTが社労士試験の問題に答えることは十分にできますが、問題によっては解答が曖昧になるといったところでしょう。

【補足:2023年2月1日】
テレ東BIZのYouTubeチャンネルで「ChatGPT」の話題が取り上げられていましたので、下に動画を貼っておきます。

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