見出し画像

世界最小のサメが思っているより大きかった件


先月のサメ談話会では静岡で漁獲されたコビトザメの仲間の幼魚をみんなで観察しました。

世界最小のサメのひとつである
ツラナガコビトザメやオオメコビトザメ
サイズは概ね10センチ前後。
生殖腺を確認できなかったので幼魚と思われる。

静岡でとれるものは9〜11センチの小さいものばかり。成魚はどこに生息しているんだろうね〜、なぞだね〜という話をしていたのですが…


なんと成魚のコビトザメと
ついに出会うことが
叶ってしまいました!

今日はそんなお話をしたいと思います。


一昨日、夜遅くに漁師さんからサメがとれたと連絡がありました。夜中に漁港に到着すると発泡スチロールがひとつぽつんと置いてありました。

これなのかな?

箱を開けてみました。

箱をあけると氷の上に1尾の黒いサメが。

黒くて小さめの深海ザメはたくさんいるけれど、あれ?よくみるカラスザメの仲間でもなさそう。

…ん⁈

まさか?

あれ…?え…嘘でしょ??このお顔は、先月のサメ談話会で観察したコビトザメにそっくりじゃん!


コビトザメは幼魚しかサンプリングできていなかったので、もしもこれが成魚だとしたら初対面です!ドキドキ!

でも少し冷静になって、これはなんというサメなのか、同定していきたいと思います。

※同定にはノギスと計算機が必須です。

反射するタペタム。深海ザメの特徴。
まず同定のキーとなる目の水平幅を計測。
上から見た頭部。
次に同定のキーとなるのは眼間。
※ポイントは直線的に測ること。
腹側からみた頭部。
同定のキーとなるのは上顎の形。
これは成魚でしか顕著にならない。
ぶにっと口も開いてみた。
このサイズのコビトザメであれば
歯も肉眼でしっかり観察できるようです。


そして、全長のサイズも同定のヒントになるので測ってみます。

あれれ…?全長が30センチ近くもあるよー!

大きいなとは思っていたけど、
改めて計測してみても大き過ぎ!w

これは世界最小といわれるコビトザメの仲間なのか、違うのか?

日本産魚類検索、通称「魚検」によれば

ツラナガコビトザメ全長22センチ
オオメコビトザメ全長26センチ

との記載があります。


同定の結果はオオメコビトザメだと思われましたが、記録されている最大サイズより大きいみたいなので、これは後日、ちゃんと調べます。

ちなみに雌雄はメスだったので、妊娠個体かもしれません。

個体番号20221202a
オオメコビトザメ メス
全長28.6cm
体長25.3cm
体重0.14kg
東京湾 館山沖 水深70〜100m
サバやハチビキの仲間とともに入網。


それにしても、ずっと会いたかったコビトザメの成魚に東京湾で遭遇できるとは!感無量!
ご協力くださった皆様、
本当にありがとうございました。

私のひとつの夢が叶ったので、この日はお祝いに大好きなラムチョップを食べようと、漁港からの帰りは、業務スーパーで買い物してから帰宅しました。

ちょうどいい保冷箱。

よろシャーク

この記事が参加している募集

#今日やったこと

30,840件

#今こんな気分

75,024件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?