迷い込んだ猫のお話 14

「教えて欲しいんだ。その鈴を扱ったお前ならその運命てやつを少なからず分かっている筈だろう。俺には分からなかったんだ。何を持ってして運命と言える事なのかを。動物が生きていく事に根拠を持ち、説明をつける事など不可能では無いのか?俺は、自分から独りになる事を選んだ。そして同時に、その運命についてひたすらに考えてきたんだ。しかし答えは出なかった。その実態、真実をを掴む事が出来ずにいた。だけどお前に救われた事、話を聞いた事でその実態に近づく事が出来たと思うんだ。俺に教えて欲しい。運命とは一体何なのかを」

モグラは、愛用のシャベルで盛り上がる地面をコツコツと叩きながら、その口を開いた。

「君は運命を信じているのかい?」

「信じているから聞いてるんだ」

「全ての物事に対して意味を見出し理由付けして生きていく。出会った者や環境なんて君がコントロール出来るのかい?つまり、運命とは自分達で決めていく事なんだ。出会った者、起きた出来事に対して意味付けをしていく事によって運命を作り上げているんだ。だから、予め用意されている事でも何でもない。それまで積み上げてきた経験や出来事をどの様に捉えるかなんだ」

「じゃあ」

モグラの瞳を真っ直ぐに捉えた猫が続ける。

「今日、俺がモグラに助けられこの地下にいる事、いや、そもそもモグラや三毛猫と出会った事も運命として捉えるならば、それは自分自身で運命だと考えてる事に過ぎないと言う事なのか?」



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