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20代。たまに音楽と一眼レフとか

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20代。たまに音楽と一眼レフとか

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迷いこんだ猫のお話15

「そう言う事だ。」 「君が今日の出来事をどの様に考えるのか。過去の出来事と紐付けて考えて、今この現実があるのは必然と考えるのであれば、それは運命と呼べるんじゃないのかな。その結論に至るかどうかは、君次第だ。」 あの日、河川敷でモグラと出会わなかったら 三毛猫の存在に気付かなかったとしたら あの日、もしも違う道を歩いていたら 幼い頃に仲間と出会わなかったら 自分が群れから抜け出さなかったとしたら 全ての出来事を挙げていけばキリが無い。 ただ、 あの日河川敷でモグ

    • 迷い込んだ猫のお話 14

      「教えて欲しいんだ。その鈴を扱ったお前ならその運命てやつを少なからず分かっている筈だろう。俺には分からなかったんだ。何を持ってして運命と言える事なのかを。動物が生きていく事に根拠を持ち、説明をつける事など不可能では無いのか?俺は、自分から独りになる事を選んだ。そして同時に、その運命についてひたすらに考えてきたんだ。しかし答えは出なかった。その実態、真実をを掴む事が出来ずにいた。だけどお前に救われた事、話を聞いた事でその実態に近づく事が出来たと思うんだ。俺に教えて欲しい。運命と

      • 迷い込んだ猫のお話Ⅻ

        薄暗い空気の中に響き渡る2匹の動物の鳴き声。今、その鳴き声は彼らにとって、互いの生命と価値観について定義する"言葉"となっている。 「 ここまで来たら教えてくれ。まず、その鈴は一体何なのか。そしてお前はそれを誰から、どの様にそれを手に入れたのかを」 「その鈴は大切に想う人を持つ者だけが手にする事が出来る鈴なんだ。そして、その者の命を救う為に一度だけ効果を発揮するんだ。僕は元々その鈴を持っていた。そして君を待つ運命の為にこの鈴を渡したんだ。」 「大切に想う人...。じゃあ

        • 迷い込んだ猫のお話Ⅺ

          複数の眼差しが無造作に転がっている銃弾に向けられた。 全員が息を呑みその眼差しが突き刺さる銃弾の先には、血溜まりと共に1匹の猫が死体となって横たわっている。辺りを染める鮮血の光沢が、無惨にも猫が絶命した事実を鮮明に表している。 周囲にいる誰もがその様に考えていた。 その血溜まりの丁度中心部転がり落ちている銃弾ー 視覚に映る光景はそれだけであった。 いない。 猫がいない。 ある筈の猫の遺体がその場にない。 全容を見ていた三毛猫は自らの目を疑った。今目の前にある光

        迷いこんだ猫のお話15

          迷い込んだ猫のお話し⑩

          周囲一帯を不穏な空気が支配していた。三毛猫に裏切られ、かつ今までの三毛猫の行動は全て計画に基づいて行われていたと分かった猫は、内側から湧き出る怒りで震え上がっていた。 「絶対に許さない。奴は、他人の気持ちを踏みにじり俺を踏み台として利用した。”君も独りなんだね?”ふざけるな。貴様は一人の生物として他者と共存して生きていく事は出来ない。独りで生きて行くことの真理は、他者との共存を超えた先にあるものなのだ。お前の様に常に利己的な観点から他者と関わっている様な存在は独りになること

          迷い込んだ猫のお話し⑩

          迷い込んだ猫のお話⑨

          思い返せば合点が全てに行った。 細長い一本道で目の前に現れた三毛猫。 あの時、三毛猫は目視で自身と猫の体格差が殆ど無いことを確認していた。三毛猫が考える作戦の実行にはこの確認作業は必須だった、 そして、三毛猫は自身もかつては孤独であった事、今は集落で地位を築き確かな居場所を得ている事を話し、僅かながらにも猫の気を引いた。集落では一度ケチがついている三毛猫にはそこまでしてでも"生贄"を確保しなければならない理由があったのだ。 とはいえ、かつては三毛猫も孤独であった事は紛

          迷い込んだ猫のお話⑨

          迷い込んだ猫のお話⑧

          薄暗い空気の中で僅かに出来たブロック塀の隙間に身を潜めた猫は、自分を狙う敵の視線を僅かに逸らす事に成功した。これまで他の動物たちと群れをなす事を嫌い、独りになる事を選び生きてきた猫はこれまでも数々の修羅場を経験してきた。今この瞬間は、そんな過去の経験など微塵も役に立たない程遥かに過酷な状況だと思えた。しかし辛うじて首の皮一枚繋がって逃れられているとするならば、その経験は皮肉にも孤独に生きていた事による副産物であると認めざるを得ない。 そして、あの三毛猫だ。 今この瞬間を見

          迷い込んだ猫のお話⑧

          迷い込んだ猫のお話⑦

          薄暗い路地裏での集会を終えそれぞれが各自の潜伏先へと散っていく中、猫は三毛猫と横並びで話し込んでいた。 「今からする僕の話を、明日初めて現地に行く君は真剣に聞いて欲しいんだ」 突然に神妙な面持ちで三毛猫から話かけられた猫は、真っ直ぐに三毛猫の目を見て聞き込んだ。 「単刀直入に言うと、市場への潜伏は死と隣合わせなんだ。」「僕はあの日、自分の存在が見つかった時、奇跡て何を逃れて帰ってくる事が出来た。けど彼らは間違いなく僕とその仲間を殺そうとしていたんだ。」「これは昔からの言

          迷い込んだ猫のお話⑦

          迷い込んだ猫のお話⑥

          全てが順調だった。それは今日の任務を完璧に遂行出来ているからだけでなく、モグラと別れてから三毛猫達と出会い、黒猫のグループに入り今の自分の地位を築く事が出来ている事実に対して言えることである。居場所が無く彷徨っていた自分が誰かに必要とされ、ましてや今は集落の中心的存在となっている。何より充足感を感じているのは、親に捨てられてから誰にも相手にされていなかった自分が周囲から認められている事だった。更に自分自身の生活も遥かに豊かになった訳だから、猫はかつての仲間を切り、三毛猫の誘い

          迷い込んだ猫のお話⑥

          迷い込んだ猫のお話⑤

          まだ薄暗い市場の一角にブロック塀が数段積まれている。潜伏先でこの場所は猫の定位置となっていた。軽快な足取りで物陰に隠れた猫は今日も"その時"を待ち構えていた。 大号令とともにせりが始まる瞬間がある。その瞬間に一気に裏へ回り獲物を確保し、更にその裏口へ待ち構えているもう一匹の猫へ獲物を渡しいく大胆な手法が猫の手口だった。猫自身が立案した手法ではなく、三毛猫から現状これが有効かつ安全なやり方はこれしかないと教わっていたからだ。では何故三毛猫がこの市場に姿を現さないかと言うと、三

          迷い込んだ猫のお話⑤

          迷い込んだ猫のお話し④

          モグラと再会し、三毛猫の集落に誘われてから1年が経過した。猫は既に、その集落の中で黒猫と同等、あるいは上に立っていると言っても過言ではない程の地位に上り詰めていた。河川敷で声を掛けられ初めての忍びに同行してくれた三毛猫は今となっては猫の右腕となっている。ただし敬語で会話をすることは一切無かった。そこは猫なりの三毛猫への気遣いでもあり、優しさなのかもしれないが、三毛猫にも僅かながらにプライドがあったのだ。 いつも様に河川敷で白いミニバンが停まるのを待ち伏せしていた。その白いワ

          迷い込んだ猫のお話し④

          迷い込んだ猫のお話③

          22時を過ぎた。店内から客はいなくなり、店主が店じまいの準備を始めた。「一旦ここを離れよう。大丈夫、別に僕らは住み込んでいる訳じゃないし、散歩に行っていてまた明日になれば戻ってくると信じ込んでるから」 2匹は店を出て路地裏狭い道に戻って来た。「ここでタイミングを伺うんだ。店仕舞いをしてシャッターを降ろすまでの間に店主が目を話す時間がある。その隙にまた忍び込んで、今度は魚とキャットフードを咥えて裏の勝手口から飛び出すんだ。」三毛猫が続ける。「君のデビュー戦だ。さあ、早速行って

          迷い込んだ猫のお話③

          迷い込んだ猫のお話②

          改めて思い返すと、モグラとの突然の再開は猫に取って衝撃的な出来事だった。それでも二、三言の言葉と共に立ち去ってしまったのは、孤独に慣れ切った今の自分を変える程のインパクトは無かったからだ。 まだ幼い時。土手添いの猫の散歩道にいつも穴を掘る突き進む姿を見かけていた猫は、見た事も無いその生物に強い興味を抱いてた。 それまで猫は産みの親と共に暮らしていた。散歩や食事も母親と共にし、母親から受ける愛情を認識しながら、その現実に全くの疑念を抱かなかった。 母猫の子に対する態度は次

          迷い込んだ猫のお話②

          迷い込んだ猫のお話①

          その猫はいつもの様に、草木が生い茂る砂利道の上を歩いていた。今日はいつもより足が重い。地面に鎖をつけられている様な感覚だ。それでも少し日陰で休んでからその猫はまた、歩きはじめた。どこに向かっているかは分からない。それでも飼い主がいない野良猫にとっては、少しでも孤独を紛らす事が出来ればそれで充分だった。 いつから自分は独りになり、来る日も来る日も寝床と餌を探し歩く様になったのか。はっきりとした事は覚えていない。ただ一つだけ分かっている事は、生まれながらにして孤独だったと言う訳

          迷い込んだ猫のお話①

          情報に踊らされている感覚

          ネットワークが発達し様々な情報が手に入る様になった反面、弊害も生まれていると思います。 例えば自分の場合、これまで発達障害人の特徴や原因についてありとあらゆる事を調べてきました。離職期間中は就労支援センターに通院していた経験もあります。まあ結果的には投薬治療やカウンセリングを受ける事も出来ましたが、それと同時に当時は、今もそうかもしれませんが自分が社会から否定されている感覚がより強くなったと思います。例えば致命的なミスを犯した時、真っ先に脳内をよぎるのは皮肉にもこれまで自分

          情報に踊らされている感覚

          先が見えない中で僕らは何を選択するのか

          かの有名な予備校講師の林修先生は、"負ける奴の特徴"として、勝負事に負ける原因は最終的に全て以下の3つに分類されると分析している。 ①慢心 ②思い込み ③情報不足 ①⇨これで大丈夫だろうと言う慢心 ②⇨こうなるだろうと言う思い込み。 ③⇨戦うための情報が不足している 僕は自分に腹が立っている。 僕の頭の中には数え切れない程の失敗の記憶がある。 中には仕方ないと思っている失敗もある。だけど、そうでは無いのだ。殆どの場合は努力不足なのだ。 自分なりに考えてみる

          先が見えない中で僕らは何を選択するのか