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余白デザイン

私は16年BBQを研究してきました。

数人から数百人の規模で、色んな場所で色んな人たちとBBQをやってきました。

常に頭の中にあるのは、参加してくれた人全員に「楽しかった!!」と思ってもらうためには、どうしたらいいのか??です。
このテーマをクリアするためにたくさん実験をして仮説検証を繰り返しました。

その中でいくつかの発見をしたのですが、そのうちの一つが余白デザインです。

【余白デザインとは】

余白デザインとは、あらゆる用途に利用可能な余白(モノと時間)に対し、意思を持って設計することです。
その結果、期待する行動や感情を引き起こすことができます。

余白をデザインできると、人を楽しませることができる。物事をスムーズに進めることができる。
趣味や仕事いろいろなところで役に立つスキルだと考えています。

【余白の特徴】

私の考える余白とは、自由を許された聖域です。
余白とは、"何も意図されていない"ということ。

余白とは、隙間であり、更地であり、有休地である。
余白とは、存在が曖昧なものであり、無駄とみられたり、無用なものとされがちである。
余白とは、簡単に削除されたり、奪われたり、誰にも気付かれず持て余されてしまうものである。

余白は、"間"である。
人と人を繋ぐ間であり、
人とモノを繋ぐ間であり、
モノとモノを繋ぐ間である。

余白は、もともと繋ぐ力を持っています。

ありのままの余白が存在していても、その余白を利用するには知識、経験、ユーモアやセンスが必要です。
それらを持ち合わせていない人が、ただの余白に足を踏み入れると、不安や苛立ちを覚えてしまいます。

余白を効果的にデザインすると、繋がる力が強くなり、繋がる範囲が広がります。

【余白の種類】

余白には①物理的な余白と、②時間の余白があります。

①は廊下の壁、通路の床、真っ白なドア、透明なグラス、公園の椅子、何も置かれていないテーブルなど
②は待ち時間、移動時間、休憩時間、入浴時間、ベッドで眠りに落ちるまでの時間など

【物理的な余白】

物理的な余白をテーブルで例えてみます。
何も置かれていない、何も書かれていない、用途が決められていないテーブルはどんな使い方だってできます。
食事をしても、絵を描いても、料理をしても、仕事をしても良い。
何にでも使えるということは、逆に何に使ったら良いかわからないという問題も引き起こします。

このテーブルの真ん中に高さ20cm程のネットを付けれてピンポン球とラケットを2つ置いておけば、そのテーブルを前にした人は卓球を始めるでしょう。
きっと、そこで料理を始めたりはしません。

高さを80〜90cmにして、包丁、まな板や食材を置けば料理をするための場所だと分かるでしょう。ここでわざわざ勉強を始めたりはしません。

【時間の余白】

時間の余白の例として、待ち行列があります。
例えばオープン前の人気店、朝のコンビニのレジ、スタジアム、人気のアトラクションやコンサート会場に入るための行列です。

ディズニーランドは、アトラクションに並ぶ行列(待ち時間)という余白を効果的にデザインしています。

お客さんが並ぶ列に、アトラクションへの期待が高まるようなデザインを施しています。
ストーリー仕立ての装飾、プロローグを語るフクロウ、アトラクションの一部が視界に入る通路などなど。

待ち時間の退屈さや苛立ちを軽減するというレベルではなく、アトラクションの待ち時間という余白をデザインすることで数分で完結してしまうアトラクション自体の体験価値を引き上げています。
待ち時間を含めてアトラクションが完結するように設計されています。

多くのコンビニ、薬局やスーパーのレジ前の床には、並び方を示すサインが貼られています。店員がいちいち説明しなくても、お店が期待するようにお客を並ばせることに成功しています。

【余白を残したデザイン】

余白とは自由を許された聖域であるが故に、デザインするのは非常に難しいです。
完璧にデザインしてしまうと余白の特徴である繋ぐ力を奪ってしまうからです。

例えば、ぬりえは余白を埋める楽しみをデザインした遊びです。
白い紙に線を引いくことで、絵の輪郭が描かれています。ぬりえをあたえられた子どもは、この輪郭の中に好きな色を塗ることを楽しんでいます。
もし、完璧な絵として最初から色が塗られていたら、子どもは自分で色を塗るという楽しみが奪われてしまい、ぬりえの価値はなくなってしまいます。

ぬりえは極端な例ですが、余白をデザインするときは、期待する行動や感情を考えた上で、どの程度余白を残すか?ということを考える必要があるのです。

例えばBBQで会場の設営をするときや調理を行うときは、事細かに全てを説明するよりも、絶対に守ってほしいルールだけ伝えて残りは余白としてざっくりした説明に留めます。

すると、参加者はお互いに声をかけあったり意見を出してコミュニケーションを取り始めます。

完璧な指揮命令は、ミスなく確実に物事を進めることができますが、繋がる余地を奪ってしまいます。

【余白をデザインする価値】

余白をデザインできれば、期待通りに動いてもらえます。
余白をデザインするスキルがあれば人生は豊かになります。

人と人の間を繋ぐ余白デザイン
人を巻き込むための余白デザイン
期待する行動を引き出す余白デザイン

現在、時間の余白(移動時間や休憩時間など)は、スマートフォンを通して提供される数多のエンタメに消費されています。
このエンタメは人を繋ぐものもあれば、分断させるものもある。ここを見極めないと時間を浪費してしまうので注意が必要です。

【余白のデザインで課題を解決する】

本当はこんなふうに行動してほしいのに、期待通りに動いてくれない…とか。
コミュニティの繋がりを強化したいが思うようにいかない…という課題があればぜひ相談してください。

これまでの研究成果も駆使しながら一緒に知恵を絞りたいと思います。

例えば、サウナに行くと必ずいるのが、汗を流さず水風呂に入るおじさんです。
ちゃんと掛け湯やシャワーで汗を流してから水風呂に入ってもらうにはどんなデザインが効果的か?とか…

オンラインコミュニティの仲間ともっと距離を縮めたいと思ってオフ会をやったけど、輪に入れない人や誰とも話をしない人がいて逆効果になっている。とかとか…

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BBQ研究家 岩井慶太郎

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