整理ー捨てるその2

前回述べた整理その1では、書類の保存に着目して保存年限が守られているかどうかについて述べましたが、今回は「そもそも保存すべきかどうか」の判断について述べたいと思います。

個人レベルでは、様々な判断基準があると思いますが、こと私の業界に関して言えば、「保存『しなければならない(must)』書類」とは、「組織の長の決裁(判子)を得た文書」が基準であり、主に次のようなものです。
①収入、支出に関する書類
②(公開または外部に提供する前提の)報告書類
③意思決定に関する書類(いわゆる「内部文書」)
④記録

このうち、①は必要な様式、添付資料、作業手順がほぼ定型化されており、ボリュームもある程度決まっているので、それほど判断に困ることはありません。
また、②に関しても、報告の相手方が(または公開に関する内部の)所定の手続きを定めてくれてさえいれば、こちらも迷うことはないと思います。

厄介なのは③です。この手の書類は、作った時よりも、ある程度時間が経ってその意思決定の結果が明らかになったとき、しかも多くは失敗、または期待値を下回ったときに、原因究明目的で使用されるからです。
もしあなたが、社内のなにがしかのプロジェクトに携わり、意思決定の過程を記録する立場にあったなら、会議資料や議事録の類いは極力保存しておくことをおすすめします。部署異動があったときには、漏れなく後任に引き継ぐとともに、何らかの方法で自らもそれらの書類のありかを見失わないようにしておきましょう。

こんなことを書くと、あたかも悪いことに手を出している組織において、保身に走っているように見えるかもしれません。もちろんその時点でのコンプライアンスに抵触するような意思決定・行動を取るようなことであれば論外ですが(その様な場合はそもそも意思決定の場に立ち会わない方が良いです)、ある時点では良かれと思って下した決断が、その後期待通りの結果にならないことはよくあるものです。その際、決して「犯人探し」をするためでなく、どのプロセスに問題があったかを明らかにすることが重要です。もっと言えば、より確からしい決断をもたらす思考プロセスができていれば、たとえ失敗に終わっても前に進むことはできると思います。

「捨てる」という話から、思考プロセスの話に発展してしまいましたが、この事についてはトヨタ式の「TPS」に関連して別に述べたいと思います。

なお、今回の本題の「捨てる」で言えば、上記①~④のいずれにも該当しないものは全て捨てる対象です。参考資料として手元に置いておくとしても、意思決定・決断が済んだら速やかに捨てましょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?