屁ッセイタイトル2__39_

伊坂幸太郎は面白いけど読みたくない。

友人の勧めとミーハー精神が合間って伊坂幸太郎を読んでいる。

とりあえず「重力ピエロ」を読み、なるほどこういう作風なんだなと理解した。少し「クサい」とも言えるキザな台詞まわしと、綺麗に伏線を回収する綺麗なストーリー展開。映画に例えるなら「オーシャンズ11」を観ている感覚だ。

そして、続いて「死神の精度」を読んだ。

これは一話完結型の短編がいくつか連なっているもので、重力ピエロに比べると伏線回収がスモールスケールになっていた。なので、伊坂好きの友人にも「正直つまらない」と言った。だから「一番のオススメを教えてくれ」と。最後にその一作だけを読んでから判断しようと思ったのだ。

そこでオススメされたのが「チルドレン」だった。

これも短編集だったので、正直に言えば「つまらなそうだな」と思ったのだが、信頼できる友人だったこともあり、文字通り「騙されたと思って」読んでみた。

面白かった。
それこそ「オーシャンズ11」な感覚。

全ての短編に出てくる「陣内」という男は無茶苦茶な言動で周りを振り回し、突飛な行動で揉め事を起こしてしまう。でも、そのおかげで思いもよらぬハッピーエンドに結びつくのだ。

そしてそれを陣内以外の人からの目線で描く。
そこが面白い。

キムタクの代表作HEROだって、基本的には振り回される雨宮や周りの検事、事務官の目線で描かれるだろう。だから最後はHEROのカッコよさにシビれてしまう。

伊坂幸太郎は良い。
読み終えた後の清涼感が心地よい。

でも、しばらくは読まないだろうと思う。
読んでいて小っ恥ずかしくなるのだ。

「キザな作品を読んでいる俺」
「かっこいい作品を読んで悦に浸っている俺」

それが嫌なのだ。

これは私にとってのスタバに似ている。
スタバの雰囲気も好きだし、ノマドワークをしてしまいたくなる時だって多々ある。

しかし、私はほとんどスタバを使わない。
小っ恥ずかしいのだ。

スタバでMacを開いている自分がいちびっている気がする。
というより、仕事をしていても俯瞰で自分を見てしまう瞬間が何度も訪れるのだ。

だから、スタバには行かない。
伊坂幸太郎は読まない。

自分に対して「素直じゃない」と言われるかもしれない。
でも、素直に読めないのだ。

サポートされたお金は恵まれない無職の肥やしとなり、胃に吸収され、腸に吸収され、贅肉となり、いつか天命を受けたかのようにダイエットされて無くなります。