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中国の伝統的挨拶「拱手」のあれこれ【中国文化】

こんばんは、小羊です。

最近は、小区(中国における団地みたいなもの)の封鎖やPCR検査な大変なこと続きだったのですが、1つだけとっても嬉しいニュースがありました。
それは、映画「キングダム 遥かなる大地」が今年夏に日本で公開される(しかも主題歌は小羊が最も好きなバンドMr.Childrenが担当)というニュースです!!

キングダム(中華圏では「王者天下」と翻訳されています)は小羊が中国好きになったきっかけ1つでもある思い入れの深い漫画です。ああ、本当なら日本で、映画館で見たい!

と、キングダム熱が冷めやらないので、今日はキングダムにも頻繁に登場する、中国の伝統的挨拶「拱手(gǒngshǒu)」について紹介したいと思います!!!

1、拱手とは

キングダムの中で、武将が戦いの場に赴くときに「ご武運を」という掛け声とともに、片手を拳にし、もう一方の手で拳を包みこむポーズをよく見ませんか?もしくは、挨拶や感謝の念を示す場面でもよくこのポーズが出てきますね。
これが「拱手」です。

拱手は中国の伝統的な儀礼で、その起源はなんと、周の時代にまで遡ります(キングダムの舞台となった時代である春秋戦国時代より前の時代です。)。
儒教の祖である孔子とその弟子達のやり取りを記録した『論語』にも、弟子が孔子に対して拱手をした記載があるなど、当時の人々に礼儀作法として広く認知されていたことが伺えます。

基本的に拱手は挨拶・感謝の念を示す場面などで用いられ、相手に対する誠実さや尊敬の念を示す儀礼です。

但し、どちらの手を拳にするかにより、それが示す意味も変わってきてしまいますので要注意です。

2、拱手のやり方


相手に対し誠実さ、尊敬を示す拱手の場合、

右手を拳にして左手で包みこむ

のが正式なやり方です。

誠実さ・尊敬の念

なぜ左手で包みこむのかについては諸説あるのですが、右手は武器を持ったり殴るなど相手に対して攻撃をするときに用いられる手であるため、これを左手で封じ込めることで、相手に対して攻撃の意図がなく、むしろ「私はあなたを尊重してますよ」という意を伝えるためにこの形になった、との説が一般的なようです。

ちなみに、古代では女性は左手を拳にして右手で包みこむのが一般的だったそうです。

但し、古代で男性が、左手を拳にして右手で包みこむ形の拱手をしてしまうと、上記とは違い、「相手に対して哀悼の意を示す」ことになってしまいます。

哀悼の念


よってこの形の拱手は葬式などの場面でしか用いません。


3、似てるけど違う「抱拳」

よく武術映画やカンフー映画で、片手を拳にしてもう一方に手の掌を、指を立てた状態(正しくは親指は折り曲げ残りの4本の指のみを立てる)で押し当てるポーズを見たことはありませんか?

このポーズは一見すると拱手に似ていますが、実は違うものです。
これは「抱拳(bàoquán)」と呼ばれ、少林寺拳法など古代の武術をする人々の間で共通で使用する儀礼です。

抱拳もやはり、いずれの手を拳にするかによって意味が変わります。通常は、右手を拳にし、左手の掌を立てます。これは、相手に対する尊敬の念や、互いに切磋琢磨するという意味を示します。

一方、左手を拳にして右手の掌を立てた場合は、生死を決するという意味になります。よって死地に際するときしか使わないです。

はい、いかがでしたでしょうか。
拱手に込められた意味やその由来を知っていると、それを見たときの印象も変わってきますよね。
みなさんに面白かった、と思えてもらえたら嬉しいです。

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