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パリ五輪女子ボクシングで明らかになった協会対立の闇

みなさんこんばんは。いかがお過ごしでしょうか。

今日はいいお天気でした。

パリ五輪女子ボクシングでアルジェリアのイマネ・ケリフ選手が、連日話題になりました。

2024年8月1日、イタリア代表のアンジェラ・カリニはパリ2024大会の66kg級でケリフと対戦し、46秒後に試合を放棄した。

ケリフ選手なあまりのラッシュにカリニ選手は恐怖のあまり泣き出し、試合放棄するという衝撃的な映像でした。

ケリフ選手はこの後も勝ち上がり優勝し、金メダルを獲得しました。

2023女子世界ボクシング選手権失格

2023年3月、IBA女子世界ボクシング選手権で決勝に勝ち上がったが、中国のヤン・リウとの試合直前に失格となった。これは、国際ボクシング協会(IBA)が実施した性別検査に、ケリフが不合格だったことによる。ケリフはロシアの有望株で無敗だったアザリア・アミネワ選手を破った3日後に失格となり、これによりロシア人選手の無敗記録が復活した。アルジェリア五輪委員会(COA)によると、ケリフの失格は医学的な理由からであり、後にその理由は彼女のテストステロン値の高さであったと報告された。この大会では、ケリフのほかに台湾の林郁婷も失格となった。
国際ボクシング協会(IBA)の会長であるウマル・クレムレフは、ケリフと林の失格の理由について「DNA検査でXY染色体を持つことが証明された」とロシアの国営メディア「タス通信」に対して語った。AP通信はこれについて、IBAはロシアに主導されており、検査結果の詳細も不明だったと主張し。voxやワシントン・ポストや朝日新聞は、ケリフと林が2023年にどのような基準で失格になったのかは未だ不透明なままであり、両選手がXY染色体を持っていたり、テストステロン値が高いといったことについての証拠は示されていないと主張しているIBAはこれに対し、「検査結果はプライバシー保護の為に選手の同意なしに公開することは出来ないが、ケリフ選手はIBAから送付された詳細な検査結果のコピーを受け取っている。」と主張した。ケリフはこの裁定に関して「自分は女性とボクシングができない特徴を持つ」と言われて世界選手権から除外されたと述べ、自らが「大きな陰謀」の被害者であると主張したが、IBAは「ケリフ選手は検査のコピーを受け取っており、本人はこれらの検査が偽物ではないことを知っている。」「IBAは(本来ならケリフ選手本人が負担すべき)CASによる不服申立て手続き費用の一部も負担しており、IBAの誠意を示している。」と主張した。ケリフはスポーツ仲裁裁判所に異議を申し立てたが、手続きの費用を支払うことができなかったため、上訴は打ち切られた。

IBAはケリフ選手と台湾の林郁婷選手を失格としましたが、本人や各国メディアは疑義を持っていたということになります。

2023年7月、IBA選手権での失格から4ヶ月後にケリフはアルジェリア代表としてアラブ大会に出場し、女子ウェルター級で金メダルを獲得した。
2023年11月、プロ転向を発表した。同月、プロとしての初の試合がシンガポールで行われた

その後、ケリフ選手は競技を続行し、プロの選手になったそうです。

IBAの締め出しとケリフ選手出場認定

2024年夏季オリンピックのボクシング競技は、国際オリンピック委員会(IOC)のパリ・ボクシングユニット(PBU)によって管理された。国際ボクシング協会(IBA)はIOCの判断によって2023年6月に国際統括団体の資格を取り消された。これは、審判不正の問題に加え、ガバナンス、財政、倫理上の問題など複数の問題が認識されたためである。IOCは、ケリフが全ての必要な出場資格と医療規定に合致していることを確認し、パリ大会への参加を認めた。IOCはケリフが「女性として生まれ、登録され、人生を生き、ボクシングをして、女性のパスポートを所持している」とし、パリ大会における全ての競技者は競技資格とエントリー規程を遵守していると表明した。

まず、IBAがIOCに五輪から締め出されました。
次にIOCはケリフ選手のパリ五輪出場を認めました。
この二つのステップ、特に一つ目はどういうことなのでしょうか。

国際ボクシング協会(IBA)とは?


国際ボクシング協会(英:International Boxing Association、略称:IBA(アイバ)、別名:国際ボクシング連盟)は、アマチュアボクシングを統括する国際競技連盟である。2019年に資格停止処分(その後資格承認取り消し処分)を受けるまでは国際オリンピック委員会(IOC)に加盟していた。

資格停止とはいったい何をしたのか?

歴史を見てみましょう。


1920年8月24日、イングランド・フランス・ベルギー・ブラジル・オランダの5ヶ国により、国際アマチュアボクシング連盟(FIBA、Fédération Internationale de Boxe Amateur)として創設

1946年11月、FIBAを解散するとともに、新たな統括機関として国際アマチュアボクシング協会(AIBA、英:Amateur International Boxing Association)を創設。

2007年11月、名称から「アマチュア」を外し、国際ボクシング協会(International Boxing Associationn)に改めた。ただし略称はAIBAを継続使用した。

なるほど、歴史があり、順序を経て変わってますね。

2010年、初のプロ大会となるプロボクシングリーグ「ワールド・シリーズ・オブ・ボクシング」(World Series of Boxing)を開催した。

2012年2月23日、アメリカ合衆国財務省が、日本の暴力団組織「山口組」の幹部2人と、ユーラシア一帯で暗躍するロシア系犯罪組織グループ「ブラザーズ・サークル」の7人の主要メンバーに対する金融制裁を発表。また、AIBA会長代行のガフール・ラヒモフ(ウズベキスタン)が、このロシア系組織の幹部で、この組織は最大のヘロイン生産国アフガニスタンなどアジア各地で生産された麻薬をカフカス地方を経て欧州に密輸する秘密組織とし、ラヒモフは「ウズベキスタンの犯罪組織のリーダーで、中央アジアでのヘロイン生産から密輸に至る大シンジケートを運営している」と発表した。

このあたりでかなりヤバい団体になってしまいました。ヤクザと犯罪組織が絡み合うという腐敗しきってますね。

プロ解禁

2016年6月1日、プロボクサーの参加をリオデジャネイロオリンピックから認める決定を下した。リオで実施される28競技の中で、プロ選手の参加を認めていなかったのはボクシングだけであった

意外にも最後にプロ選手の参加が認められた種目

2016年9月30日、リオデジャネイロオリンピックのボクシング競技において、一部の試合の前に審判会議でどちらの選手が勝つべきかが指示されていたなど、不正に試合結果を操作する仕組みが存在したことを独立調査チームが発表した。報告書では、レフェリーや採点担当のジャッジを管轄する委員会が不正を主導したと指摘。リオオリンピックの出場枠を争う予選は「腐敗と操作のための練習場だった」とし「不正の種は何年も前、少なくとも2000年以降のオリンピックからまかれていた」と断じた。この調査結果により、八百長・買収疑惑で36人の関係者やレフェリーが資格停止となった

八百長買収まであったとは、もはや救いようがない。

2017年11月20日、2006年からAIBA会長を務めていたが、多数のAIBA理事から財務不正や不正経理など規約違反をしているとの申し立てを受け、調査のため暫定的に資格停止となっていたAIBA会長の呉経国(ウー・チンクォ)が辞任を表明した。


2018年11月30日米財務省から麻薬売買などを手掛けるロシア系国際犯罪組織の関係者と指摘されるガフール・ラヒモフが前月にAIBAの新会長に選出されたことに加え、AIBAの組織運営に依然として懸念が残されているとして、IOCは、東京オリンピックへ向けた、AIBAと東京オリンピック組織委員会の接触、ボクシング競技のチケット販売、テスト大会の計画や競技スケジュールの最終決定を凍結するよう命じ、調査結果によってはAIBAの「(国際競技団体としての)認可を取り消す可能性」も示唆した。

怪しい団体ということを示唆されてます。

オリンピック資格停止

2019年6月26日、IOC総会で東京オリンピックにおいてのAIBAの資格停止を満場一致で承認した。オリンピックでの競技運営の資格を停止された競技団体はAIBAが史上初めとなった。一方でアスリート優先の考えからボクシング競技は実施することとなり、国際体操連盟の渡邊守成が座長に就く特別作業部会がオリンピックボクシングの予選と本選を運営することになった。

ついに東京オリンピックから締め出されました。

2021年4月、ロシアの半国営の天然ガス独占企業「ガスプロム」とゼネラルパートナー契約を交わした。翌月にはAIBAの借金完済が報告された。
2021年10月、AIBA世界ボクシング選手権において、13階級の金メダリストに、一律で10万ドル(約1100万円)、銀メダリストに5万ドル(約550万円)、銅メダリストに2万5千ドル(約280万円)の賞金が支給されることになった

ロシア資本が入り、潤沢なマネーが破格の賞金を出すことに。

2021年12月、組織体制改革の一環として、略称をAIBAからIBAに変更した。
2021年12月9日、IOC会長トーマス・バッハが、「AIBAは組織のガバナンス、財務の透明性、そして審判の判定に関する高潔性への懸念に対処したことを証明しなければならない」と指摘して、ボクシングが2028年に開催されるロサンゼルスオリンピックの実施競技に含まれるか疑わしいと警告した。

2028ロス五輪からボクシングが除外される可能性があるようです。

再度オリンピック資格停止

2022年6月24日、国際オリンピック委員会(IOC)は、競技運営資格停止中のIBAを東京オリンピックに続き2024年に開催されるパリオリンピックにおいても競技運営資格を停止すると発表した。IOCは「IBAの運営、レフェリングや判定のプロセス、そして財務状況を深く憂慮している」と明かし、またIBAが財政面でガスプロムに依存していることに懸念を示した。

パリ五輪からも締め出されました。

2023年3月、国際ボクシング協会がロシアとベラルーシ選手に対する制裁を解き、国名・国旗・国歌を使用しての出場を認めたことに対しての抗議として、アメリカ、イギリス、アイルランド、カナダ、オランダなど複数の国が、ニューデリーで開催された女子の世界選手権への出場をボイコットした。5月1日からタシュケントで開催された男子の世界選手権でも、アメリカ、イギリス、アイルランド、カナダなど複数の国が出場をボイコットした。

ロシアのウクライナ侵攻が始まり、スポーツ界から締め出されたロシアとベラルーシを復活させたという。スポンサーがロシア企業だからでしょうが。

分裂

2023年4月13日、アメリカ、イギリスなど各競技団体はIBAに対抗するため新組織としてスイスに「ワールドボクシング(WB)」を設立し、IOCに承認を求めることを発表した。
2023年4月26日、アメリカがIBA脱退とWB加入を表明。一方でIBAはWB及び関係者をIBAの仲裁機関に訴えたことを発表した。

ついには別の団体が設立されてしまいました。

オリンピック資格承認取り消し

2023年6月22日、国際オリンピック委員会(IOC)は、国際ボクシング協会の競技統括団体としての認可を取り消した。その一方で、ボクシングが2024年パリ五輪と2028年ロサンゼルス五輪の実施競技に残る方針を明らかにした。不適切な組織運営等を理由に、五輪競技を統括する国際競技連盟が承認を取り消されるのは、史上初めての制裁。

IBAが団体認可取り消しされたが、ボクシングがパリ、ロス五輪に残る可能性はあります。

まとめ

つまり、IBAが2023年に行った世界ボクシング選手権で2人の女子選手が失格になりましたが、団体そのものが不正や汚職で五輪の管理団体から締め出されて、認可も取り消しされており、その事実(DNA検査でXY染色体を持つことが証明された)は認められないということになります。

これが本当かどうかは今のところ判断しかねるが、判断した団体がもはや五輪とは無関係の団体だったということです。


それではまた。

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