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読書感想文 #44 『君たちはどう生きるか』

みなさんこんばんは。いかがお過ごしでしょうか。

この土日も寒くて、週末はほとんど外出をしませんでした。

さて、今日は下記の本の感想になります。

君たちはどう生きるか
吉野源三郎 著

出版社から

「ヒューマニズムに根差した良い本は、
時代を超えて人々の心をつかむのです」
(ジャーナリスト/池上彰さん)
1937年に出版されて以来、数多くの人に読み継がれてきた、
吉野源三郎さんの名作「君たちはどう生きるか」。
今回前書きを書いてくださった池上さんも、
小学生時代に、父親から渡された当初は
読もうとしなかったのですが、気がつくと夢中になって
どんどん読み進んでいたと言います。
人間としてどう生きればいいのか、楽しく読んでいるうちに
自然と考えるように書かれた本書は、子供はもちろん
多くの大人たちにも共感をもって迎えられてきました。
勇気、いじめ、貧困、格差、教養、、、
昔も今も変わらない人生のテーマに真摯に向き合う
主人公のコペル君と叔父さん。
二人の姿勢には、数多くの生き方の指針となる言葉が示されています。
活字も大きくなった読みやすい新装版で、
ぜひ、色褪せない名作の面白さを堪能してください。

目次


一、変な経験 10  ものの見方について(おじさんのノート)
二、勇ましき友 34 真実の経験について(おじさんのノート)
三、ニュートンの林檎と粉ミルク 66 人間の結びつきについて(おじさんのノート)
四、貧しき友 107 人間であるからには(おじさんのノート)
五、ナポレオンと四人の少年 153 偉大な人間とはどんな人か(おじさんのノート)
六、雪の日の出来事 207
七、石段の思い出 235 人間の悩みと、過ちと、偉大さとについて(おじさんのノート)
八、凱旋 274
九、水仙の芽とガンダーラの仏像 289
十、春の朝 313

感想


1937年出版されて、教育分野などで長らく大変人気があり、2017年に漫画化されさらに有名になった本で、今回初めて読みました。

一時期話題になり、本屋さんでもよく見かけましたが、それでも全く読まなかったのが読むことになったきっかけは、塩野七生さんのエッセイ集”誰が国家を殺すのか 日本人へⅤ”の中で、コラムで次に帰国したら寺子屋をやってみたいと書いたら、読者から「こんな感じですか」と、送られてきたのがこの本で、小説版と漫画版だったのだそうです。「全体の構成がじつによくできている」とあり、そんなに絶賛するならばと、読むことにしました。

十五歳のコペル君は中学生(戦前の中等学校は現在の高等学校)で、都内に暮らし母子家庭ですが、おじさんがちょくちょく登場し手紙や会ったりしてアドバイスをくれます。省電という電車で通学し、おそらく進学校で、比較的裕福で上流の子と思われます。
おじさんのノートは大人からの知的で詳細に渡るもので、分野は違いますが、ロバートキヨサキの「金持ち父さん 貧乏父さん」の金持ち父さんのような感じでわかりやすくて、コペル君に勇気を与えています。

とても感動的なシーンは、友人の浦川君が同級生にいじめられ、その後しばらく学校を休むようになり、心配になったコペル君が電車に乗って家を尋ねると、商店立ち並ぶ地域で自宅の豆腐屋で仕事を手伝っていたところです。ちょうどお父さんは田舎に資金繰りの問題で一時的に不在で、お店に務める若い衆の一人が病気になり、人出が足らず、学校を休んで仕事をしていたのでした。コペル君は浦川君に授業の進み具合を教えて、その後も家に行き、勉強を教えたりし、二人は仲良くなるのですが、おじさんはそのことを大変褒める一方で、コペル君は社会においてまだ”消費専門”なのに対し、浦川君は既に働き、立派に物を生み出しているのだから差別をしてはいけない、かなり若いうちに学校にも通えずに働かなければならない子供が世界中にはたくさんいると説くのでした。

このように日常の中で直面する問題を等身大で体当たりするコペル君の話は、大人が読んでも感動でき、中学生や高校生などの若い人たちでも実生活にあてはめることができるので、大変参考になるかと思います。

この本が書かれた戦前の頃に比べて、現在は物は豊かになってはいますが、他の人を思いやり、行動をするというのが昔よりも欠けていると思います。こういった本を読んで、考えてみるのも良いのではないでしょうか。

若い人だけでなく、大人でもいいですし、間違いをしてしまった囚人ですとか、あるいは海外から日本に移住してきた人たちにも教材として読んでもらい、日本の哲学書、教科書のような、あるいは聖書のようなものとして、広く読まれるのが良いかと思います。

ちなみにあの宮崎駿監督の次回作のタイトルが、
『君たちはどう生きるか』
だそうです。内容は明らかになっていないので、この小説との関係はわかりませんが、気になりますね。


それではまた。




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