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読書感想文 #48 スクラップ・アンド・ビルド

みなさんこんばんは。いかがお過ごしでしょうか。
この土日は喉の調子が悪くて、大半を家でじっとしていました。

今回はこちらの感想です。

スクラップ・アンド・ビルド
羽田圭介 著

概要

「早う死にたか」毎日のようにぼやく祖父の願いをかなえてあげようと、ともに暮らす孫の健斗は、ある計画を思いつく。日々の筋トレ、転職活動。肉体も生活も再構築中の青年の心は、衰えゆく生の隣で次第に変化して…。閉塞感の中に可笑しみ漂う、新しい家族小説の誕生!第153回芥川賞受賞作。

感想
2015年上半期の芥川賞受賞作で、又吉直樹の「火花」と同時受賞し、話題になった作品。

以前火花の感想も書きました。

ヒットして、NHKでドラマ化もされた作品ですが、これまで読んだことはありませんでした。転職活動中の28歳の健斗が87歳の祖父の介護をしながら暮らす日々を細かく描いていますが、とてもリアルな感じがして、他人事ではない印象を受けます。高齢化社会の日本で、失職して再起をかける時期に介護をする、と言ってもデイケアに連れて行ったりとかで100%ではないですが、葛藤のある生活は共感を呼ぶのかもしれません。健斗は心の余裕がなく、険のある言葉を彼女にかけてしまったり、祖父は歩けるのに歩けないと言って甘えたり、女性の介護職員に必要以上に触れたり、テレビのベテランアスリートを年寄り扱いしたり、戦争体験を美化して語ったりと、人は弱くて、歳を取っても変わらず所詮その程度なのだと思えました。8年前の作品ですが、尊厳死とか言葉がでてきたり、祖父が親戚から煙たがれるのとかも、日本中がこれから認知症等、介護の問題が多く噴出すると実感させられるような気がして、読んだ人は「そうなったらどうしようかな」と思ったのではないでしょうか。


それではまた。


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